39歳の初産婦。妊娠41週2日、陣痛発来のため入院した。
以前から子宮体部右側に5cm大の漿膜下筋腫を指摘されている。妊婦健診では問題なく経過していた。10分間隔の規則的な陣痛が来たので、しばらく自宅待機していた後に来院した。
身長162cm、体重71kg(非妊娠時63kg)
【来院時の所見】
バイタルサイン:体温36.5℃、血圧124/76mmHg、心拍数80bpm
Leopold触診法で児背を母体左側に触れる
CTG:胎児心拍異常なし、子宮収縮3分間隔
内診所見:先進部は小泉門で母体の左後方に触れる。開大度5cm、展退度60%、児頭下降度Sp+1cm、子宮口位置中央、硬度軟
尿所見:蛋白(-)、糖(-)
G59
入院時の診断として正しいのはどれか。2つ選べ。
a.微弱陣痛である b.第2胎向である c.第2回旋の異常である d.Bishopスコアは4点である e.児頭最大周囲径の位置は骨盤濶部にある
正解:c,e
久々に分娩の問題ですね。
前回(頭血腫)の流れを受けて、関連する問題を選びました。
要点としてまとめるようなものは特にないので、選択肢をそれぞれ見ていきましょう。
a.微弱陣痛である
微弱陣痛かどうかは、陣痛間隔と持続時間で評価します。
第51回でも似たような問題を扱ったので、そちらも確認してください。
さて、本問は現在5cm開大で3分間隔とのこと。持続時間は書いてませんね。
陣痛間隔は平均的なので、微弱陣痛と言える根拠はありませんね。
b.第2胎向である
↑この通りです。母体左側に児背を触れるので、第1胎向ですね。
c.第2回旋の異常である
先進部は小泉門で母体の左後方に触れる。と書いてあるので、
↓こうですね。
後頭部が先進して、後方に回旋しているので、後方後頭位ということです。
正常な第2回旋は↓こうなので、本症例は第2回旋異常です。
d.Bishopスコアは4点である
出ましたね。僕の嫌いな、「暗記するのは面倒だけど調べれば一瞬で分かる」系問題。
まあ、今回は4点からは明らかにかけ離れているので、良心的ですね。
出題者も、「細かく暗記してなくていいけど、肌感覚で違うってことは分かってね。」くらいの意図でしょう。
Bishopスコアは↑こうですね。
本問は
5cm、60%、Sp+1cm、中央、軟
なので、3+2+3+1+2=11です。
e.児頭最大周囲径の位置は骨盤濶部にある
骨盤は
入口部・濶部・狭部・出口部
の4部位に分けられます。
入口と出口はまあ見たまんまで、濶部は広いところ、狭部は狭いところです。
濶部は結構縦にも長くて、骨盤腔の大部分は濶部です。
狭部は最後の最後で、ほぼ出口部と同一です。
入口部は横に広く、出口部は縦に広いので、児頭は横向きで入って縦向きで出ていくんでしたね。
横→縦になるのが第2回旋で、これが起こるのが濶部
縦になった後に首を後ろに反らせて出ていくのが第3回旋で、これが起こるのが狭部(出口部)というわけです。
本問は第2回旋の途中ですから、濶部ですね。
今回は3連問なので、2回に分けて解説します。
続きはまた次回。