ビートたけし「浅草キッド」
先日,アメンバーさんの記事で下の写真を見て,大笑いしたとともに,何とも言えぬ懐かしさを覚えた。ストリップの殿堂,浅草ロック座の貼りチラシ。結局,ロック座には一度も行くことはなかったが,そのお隣のフランス座(今もあるかどうか知らないが…)には何度か足を運んだ。といっても,2~3回。アナコンダ小林という年下の友人の付き合いで,ある踊り子さんの応援に行ったことを思い出す。客はほんの数えるほど。他の劇場より広かっただけに,あの寂々とした,というか,さびれた雰囲気だけが記憶に残る。ビートたけしの漫才や映画などはあまり好きではないが,こんな場末の劇場から「世界のたけし」へと突き抜けていったのかと思うと,ちょっとだけ尊敬した。まさにアンビリーバボーだ。人間,どう化けるかわからないものだな。―――♪夢は捨てたと言わないで ほかに道なき二人だのに…

ボクがまだ20代の頃(あるいは30代初め)かな,渋谷や新宿などの劇場に通っていたのは。時代は90年代の世紀末。あの,アングラの中のアングラというような雰囲気が好きで,自らを解放できる場所でもあった。当時,気分は勝手にロートレックか永井荷風,はたまた寺山修司になりきっていて,そのうら寂しい劇場は,ボクにとって青春の駆け抜けた草原だった。そこでは世の中の権威も地位も財産も関係ない。ただ裸の感情でぶつかり合う人間だけがいた。
世話になったダンサーや客,従業員も何人か亡くなったと,風の噂で聞いた。悲しみがよぎるが,ボクの想い出の中では今もみんな騒々しく,鮮やかに輝いている。だから信じられない,信じない…これからも想い出を抱きしめて生きていく。みんな孤独ゆえに,優しく心を慰めてくれるものを求めていた人たちばかりだから。
悲しみの鎮めがたくば立ち尽くす花に嵐のさらばわが友 (福島泰樹)
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ビートたけし「浅草キッド」(ニューイヤーロックフェスティバル)
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