放射能汚染ルート
放射能汚染の現状については,実際のところ,その全体を正確につかめている人はいないだろう。国民の命や健康に直結する重大な問題であるので,原子力について素人の僕が,軽々しく私見や断片的な情報を提供することは慎まねばならない。政府や電力会社が信用できない今,御用学者でない,信頼できると思われる複数の専門家の見解・情報を入手して,総合的に判断することが望ましい。いくら優れた専門家であっても,その人,一人だけの意見を鵜呑みにして行動することは危険である。
今日は,僕が個人的に信用できると思う研究者二人からの有益な情報をごく簡単に紹介したい。下は,その情報のリンクである。
早川由紀夫の火山ブログ
「3つのホットスポット」(武田邦彦のブログ)
上の地図は,そのうちの一人の早川由紀夫氏が作成したものである。これを見ると,放射能汚染の全体的な流れが分かるような気がする。このブログで前に検証したように,やはり首都圏が油断できない状況にあることを改めて感じる。また,もう一人の武田邦彦氏のブログでは,放射線や放射性物質が集まる「ホットスポット」を,さらに「ビッグ・ホットスポット」・「ホットスポット」・「ミニ・ホットスポット」の三つに分け,それぞれにおいての被爆の下げ方を具体的に説明されていて,有難い。
一つだけ言わせていただきたい。
被爆に上限とか限度量とかいったものは存在しないということである。国や国際機関が定めている基準の多くは,原発推進・産業振興の観点からつくられたものである。すなわち,ここまでなら原発稼働に支障は生じないだろうし,人間の健康にも直ちには影響がないだろうという数値なのである。将来の健康に対する基準であるなら,それは限りなくゼロに近くなくてはならない。自然界にも放射線がある以上,実際にはゼロということはあり得ないが,しかし健康にとって安全な基準をつくるという立場からすれば,ゼロに限りなく近いものを基準とすべきだ。もし原発なるものがなければ,ゼロ基準で何の問題も生じないし,原発と利害の絡んでいない産業界からも同意は得られるはずだ。
いうまでもなく被爆で一番恐いのは内部被爆である。それは数年後から10年後,20年後に障害が出てくるものである。また,これから生まれてくる子どもやそのまた子どもにも・・・。だから,わずかな被爆でも,しないに越したことはない。特に子どもたちや若い人たちには,それを願う。さまざまな事情で避難できず「ホットスポット」に住まねばならない人は,上の武田氏が推奨している被爆回避法などで,できる限り被爆量を下げてほしいと思う。被爆量が1単位追加されるごとに,将来の危険度が1単位増加する,と考えるのが常識的な考え方だと思う。このように「被爆」と「危険」とは比例関係だが,「被爆」と「安全」とは相反する対立概念である。いつかも書いたが,安全な範囲の被曝などあり得ないのだ。

