3・11の震災で多くの人が思い知らされたのは,津波の恐ろしさだろう。岩手県宮古市にある巨大な防潮堤は総延長2.4km,海抜10mもあったが,津波は,その一部を大きく破壊し,それを軽々と乗り越えていった。津波の高さ(遡上高)は何と37.9mにまでも達していたという。そして,約1600戸と多数の住民を根こそぎ押し流した。
前も書いたことだが,同時に,この巨大津波は,3・11以前にあった日常の言葉もさらっていった。
そんなことを考えていた折,今回の震災の正式名称が政府によって「東日本大震災」と決められた。この名は今後,限りなく使われ,歴史に刻まれる言葉となるだろう。一方,震災後に発見された遺体の4人に1人が身元不明のまま埋葬されているというニュースも聞いた。墓標に刻まれることのない死者の名こそを,名もなき死者の思いこそを,私たちは心に刻まなければならない。そこから,3・11以後の新しい時代の,新しい言葉がきっと見つかると思うのだ・・・
下は先日(3/26),中日新聞に載っていた歌。
教科書へ書かれる「
大野道夫