NHK BS世界のドキュメンタリー
「お金を持たない生き方」（LIVING WITHOUT MONEY）
IMAGINE NO POSSESSIONS I WONDER IF YOU CAN -John Lennon-（想像してごらん、財産なんてないと…君に出来るかな -ジョン・レノン-）
元教師だったハイデマリー・シュヴァルマーは、14年前から“お金を使わない生活”を実践している。緊急のためのわずかな資金を残して年金も返上、自分の考えに賛同してくれる仲間や知り合いの家を、転々として暮らしている。
ハイデマリーにとって“豊かさ”とは、必要なものだけを手に入れること。ある時は食料品店で掃除をする代わりに賞味期限の近い食品を分けてもらい、またある時は市場で捨てられた野菜や果物を拾って持ち帰る。
ハイデマリーはこうした生活を実践するかたわら、若者たちと物々交換のワークショップを開いて一緒にお金の価値について考えたり、自身の体験談を語る講演活動を行ったりしている。
国内外のテレビやラジオに出演し、司会者にいじわるな質問を投げかけられることも多い。ハイデマリーのことを、他人に寄生する“パラサイト”ではないかという人もいる。しかし、父親の事業で貧しさと豊かさの両方を体験したハイデマリーは、カネによって価値が左右されるこの大量消費時代に、違う生き方があることを示したいと話す。
番組は世界経済の有り様を嘆き、人とは違うオルタナティブ・ライフを歩む女性の葛藤と周囲への波紋を描く。
原題：Living Without Money
制作：EiE FILM / DALCHOWS VERDEN （イタリア／ノルウェー 2010年） －引用元ー
ハイデマリー・シュベルマー
『必要な物は全部持っていました…家も…子どもも二人育てました…でも全て手放しました…実験をしてみたかったからです。
歳をとったらどうするのかと聞かれる事があります…でも既に歳ですし、今の暮らしが気にいっています。…私と同年代の人は庭などでのんびりするのが好きですが、私はあちこち旅がしたいのです。
最初、子どもたちは心配しました…友達も同じです。いつか正気に戻るだろうと思っていたみたい…でも今は私のしている事の意味を理解して精神的に支えてくれています。…お金ではなく気持ちでね。』
反論：「良い印象は持ちませんでした…彼女はお金のいらない生活をしていると自分で思い込んでいるだけで、実際には他人の世話になって暮らしているのです」
イタリアのラジオ局にて…
経済危機のせいで多くの人は、月々の収入で生活するのがやっとです…お金のいらない生活など誰も想像できないでしょう。でもシュベールマンさんは、お金のいらない生活を選び幸せに暮らしています。…どこでどこで寝るのかどうやって食べるのか自問自答する事はないですか？
ハイデマリー・シュベルマー
『自分の家はありません、一番初めに処分しました。たいていは他の人と一緒に暮らしています…1年間、人の留守宅を任された事はありましたが、今はいろんな人の所に身を寄せながら自分の考えを広める事に務めています。
最初の職業の教師をしていた時、この職業を一生続ける気が無い事を考え、やがて全ての財産を売り払い南米へ旅に出ました。…それ以来、まさに今は、自分が望む生活をしています。
私はこの豊かな社会の恩恵を受けています…みんなも私のように生きるべきだとは言いません。』
ハイデマリーは、公演、TV出演、執筆、人々に自分の生き方を教える活動をしています…その間、友達の家に泊まったり、移動の為のチケットは、ハイデマリーを呼んだ主催者、友達が提供してくれるのです。…ハイデマリーはお金を持っていないからです。
しかし、今、ハイデマリーの生き方が大きな反響を呼び、共感が広がっています…「ハイデマリーはお金を使わないが人脈というお金を使っているだけだ」と非難する人もいますがハイデマリーは気にしません。
ハイデマリー・シュベルマー
『私がこういう事をしているのは、今のままの世の中ではダメだからです…働きづめの人もいれば仕事が無い人もいる…私が目指すのは、今のように皆が競争し合うのではなくて共に生きる世界です。
私は自由だからストレスが無いのです…でも誰でも私のように出来るわけではありません…しかし、お金のいらない社会を作る事は出来ます。…お金が無くても世界はまわりますよ。
今は無理でも経済が崩壊したら変わります…必要最低限のものがあればそれで十分です…あとはいりません。…靴なんて20足もいらない…3足で十分、部屋履き、外出用、あと一足持つならパーティー用かしら。』
■ハイデマリーは文明社会を否定しているわけではないのです…美食もしますしお洒落も…大きな矛盾を持ちながらも物質にこだわらない…お金を持たない事で精神的な自由を勝ち取った女性なのです。
■ハイデマリーは14年間もお金を持たないで生活する事を実践している…しかも幸せにストレスなく生きている事実は無視できない…多くの人々がハイデマリーにあこがれて共感をし、彼女の事が大好きなのです。
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