イイコな女社長 ~半歩先の食探し~ -3ページ目

お客様は神様じゃない。

私はアナログの時代に育ったので、

どうもデジタルな世界が苦手だ。



便利なこともたくさんあるけれど

便利になり過ぎて大切なことを

忘れかけてきているような気がする。





食いしん坊で飲兵衛の私は

20代の頃から美味しい店探しが大好きだった。



もちろんネット検索なんてしない時代。



自分の勘と口コミだけが頼り。





失敗もたくさんあったけれど

失敗しながら勘を養うのも楽しいし

良い店を探すのが得意な勘の鋭い大人と

飲み歩いたりするのが

また楽しかったりしたものだ。



ところが最近では

店を訪問する前に

ネットで予習をして食べるものをあらかじめ決めたり

他人の評価を参考にしたり

それはそれで失敗も少なく

限られた時間や胃袋を満たすには

とても便利なのかもしれない。



でもやっぱりちょっと寂しい気がするのは

私だけだろうか?






初めて行く店はドキドキしながら

周りのお客さんが注文しているものを

真似してみたりして

自分も店に認められたくて

ついつい背伸びしてみたり・・・・



気に入った店に出会うと

自分はこの店にふさわしいのかどうなのか

確認するために何度も通ってしまう。



それがたとえ無駄な時間だったとしても

その時間が店とお客さんの関係を深める

大切な時間だったりする。



私はこの仕事を始める前

そんな時間がたまらなく好きだった。



店側もお客さん側も

探り合いながら良い関係を築いていたような気がする。






飲食店とは

ただ美味しいければいいというものではない。



マニュアル通りのサービスをしてくれることを

望んでいるわけではない。



世間で人気があるから良い店とは限らない。







この仕事を始めてからは

さらにその思いが強くなった。



店側の立場から言うと


いかにも

「ネットで検索してきました。

もう二度と来ないので、

この一回限りで満足させてください。」


的なお客様はわかるものです。




できる限り要望にお応えするのが

私たちの使命ではあるが

お応えすることによって

店のコンセプトがブレてしまうことがあるということを

理解しなくてはいけない。



最近はネット予約が主流になっているようで

弊社も試してみたが

どうも私たちには合わない気がして

昨年で全店舗廃止した。



予約をいただく時点で

お客様と店の関係は始まっていると思うので

便利だからと言って何もかもとり入れるのは

少し違う気がする。





店というものはお客様と一緒に作り上げていくものだと思う。



だからこそ店側が毅然としてた態度で臨まないと

つまらないありきたりな店ばかりになってしまう。





「お客様は神様です。」

ではないのです。





店側がお客様を教育することも

時には大切な場合もあるのです。



お客様はお金を払っているからといって

偉そうにするわけでもなく

店側はお金を払っていただいているからといって

媚を売る必要もない。



不思議なものでお客様と店側が

相思相愛の関係を築くことができれば

店もどんどん良くなるし

お客様もどんどん楽しくなる。




人間関係も同じで

好きでもないのに無理してつき合ったり

その場限りのつき合いだと思って妥協すると

決して良い関係を築くことはできない。





少しくらい時間をかけて

お客様と店が良い関係を保つことこそが

店を長続きさせるコツなのではないでしょうか?









納税

ここ最近、とっても気持ちの良いお天気ですね。



ゴールデンウィークのお休み中という方も

いらっしゃるのでしょうか?




弊社イイコは2月が決算なので、

ゴールデンウィーク=納税というかんじです。



おかげ様で16期を無事終えることができ、

本日納税を済ませました。






創業して18年、法人化して16年経過したわけですが、

やっと納税できることの幸せを

感じることができるようになりました。



最初の頃は

こんなに頑張っているのに

なんでこんなに税金を払わなくてはいけないのか

不思議で仕方無かった。



納税するために借金するなんてこともあったり・・・



国の制度を恨んだこともありましたが、

今考えればそれって

ちゃんと経営できていなかったってことなんですよね。



税務署の調査が入っても

いったい何を言っているのか

ちんぷんかんぷんだったし・・・・



それでも長くやっていると

苦手なこともだんだん理解できてくるものです。



何事も経験に勝るものはなし!



何をやっても長続きしなかった私が

会社経営だけは今のところ続いている。



まだまだ経験していないこともいっぱいあるので

もう少し続けてみようと思っています。



このちっぽけな会社の存在は

私にたくさんのことを経験させてくれる

宝物なんです。






17期目を迎えて2カ月たちました。



ありきたりではありますが、

毎日毎日を丁寧に

社員たちやお客様やお取引様に対して

感謝の気持ちを忘れずに

邁進したいと思っております。




今後とも株式会社イイコを

どうぞよろしくお願い申し上げます。




天才ピカソ

天才と言われたピカソは数々の名言を残したが


「誰でも子供のときは芸術家であるが

問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかである」


という言葉は彼の人生を物語り

私の心に刺さった言葉でもある。




せっかく素晴らしい感性を持っていても

様々な欲に邪魔されて

純粋な芸術家でいられるのは非常に難しい。




芸術家というのは

絵が上手いとか

歌が上手いとか

そういうことだけではなく、

感性・・・もっと言えば感受性の問題だと

私は思う。




物事を理屈ではなく

感覚で捉える心だったり


常識にとらわれず

未知の世界を受け入れる

広い心と探究心を持っていること。




大人になればなるほど

常識にとらわれたり

理屈や数字でかたずけようとしたり

外部からの情報に頼ったり


その方がまるで偉いかのように判断されてしまうので

大人になっても芸術家でいられることは

とても難しいことなんだと思う。




私は自分のことを芸術家だと一度も思ったことはないが


店に看板を出さなかったり

原価率や表向きの数字にこだわらなかったり

何の根拠もないのに簡単に人を信じたり

美味しいものを食べたいという気持ちだったり

好きな人と一緒にいたいという心だったり


とにかくただただ感覚だけで動いてきた。




そして多数派の意見ではなく

自分が好きと感じる人の意見だけ

聞いてきた。



難しいことは抜きにして

子供でも考えつきそうなことをやってきただけである。





ピカソが晩年の残した名言には鳥肌が立った。



「ようやく子どものような絵が書けるようになった。

ここまで来るのにずいぶん時間がかかったものだ。」




どんな仕事でも

目的をぶれずに持ち続けるということは

子どものような気持ちになることかもしれない。