Electronic Dolphin Eats Noise -4ページ目

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

『ひなぎく』4Kレストア版

ヴェラ・ヒティロヴァ監督(1966年/チェコスロヴァキア)

配給: チェスキー・ケー

元町映画館

2018年以来、スクリーン鑑賞はこれで7回目。

神戸でのひなぎく上映はKAVCのイメージが強かった(2010年代は毎年の様に上映していた)けど、KAVCなきあとの4Kレストアでの初上映は元映になりました。

にしても何あの発色!そしてディテールの肌触り。初体験のような興奮でした。

唐突に奪われたプラハの春、その直前のひと刹那。

自由への渇望とそれへの覚悟、男性社会やブルジョワ階級への痛快なカウンター、実験映画の難解さを嘲笑うかのようなポップさを伴い、60年の時の流れすらものともしない確信と革新に満ちた映画体験。

全編ポップでお洒落、私ら世代だとガーリーだなんて言葉が何度も頭過ぎるわけですが、今これを撮らねば!残さねば!な気概や新訳以降幾分掴みやすくなったメッセージにも目を向けたい。

ちなみに今作は母国で当時発禁処分になり監督は7年間活動を停止させられた。

わがままを言わせてもらえば60周年/4Kレストア版のこのタイミングでのパンフレット欲しかったです。クリアファイル2種類(どちらか選べず!)購入しました。

※ 近々で同じスクリーンで鑑賞したのもあるけど『ひなぎく』とネリー・カプランには近しい臭いがあった

 

ペリリュー 楽園のゲルニカ

久慈悟郎監督(2025年/日本)

配給:東映

塚口サンサン劇場

武田一義氏の同名漫画を原作としたアニメーション映画。

太平洋戦争中のペリリュー島(パラオ諸島)での日本軍とアメリカ軍の戦いを史実を元に構成したフィクションになります。

漫画家志望である一等兵の主人公越しの戦場の地獄。

原作は未読ですが、可愛らしくデフォルメされたキャラ造形と戦場の地獄の描写とのギャップがよりそこにある恐怖や無慈悲さを浮かび上がらすなと。

それぞれの立場での苦しみも掴みやすく配置されていました。

今このタイミングでこの映画が広く観られ、過去が知られる事を強く望みます。

 

クロード・シャブロル傑作選

『肉屋』

クロード・シャブロル監督(1970年/フランス・イタリア)

配給:コピアポア・フィルム

シネマ神戸

これにて傑作選の鑑賞コンプリート。

3作共にサスペンスの体制用いながらも人の心の胡乱なグラデーションの揺めきをスクリーンに炙り出してたけど、これはもう究極っちゅーか、極地ってか、勘弁して欲しいほどに完璧に愛の前に倫理すっ飛ばされてて完敗。

規格外にフリーダムな小学校長の女性と軍隊上がりの肉屋の男性。強烈に惹かれ合う2人の背後には不穏な影が常に寄り添い…

今回の特集3作品全ての劇伴手掛けたピエール・ジャンセン✖️全ての撮影手掛けたジャン・ラビエの手腕も冴えまくる!

 

ジミ・ヘンドリックス「エレクトリック・レディ・スタジオ・ヴィジョン」

ジョン・マクダーモット監督(2024年/アメリカ)

配給:IAC MUSIC JAPAN/Santa Barbara Pictures

シネマ神戸

ジミヘンが専用(当時は画期的であった)スタジオとして創り上げたエレクトリック・レディ・スタジオがいかにして生まれたか?そこで(僅かな期間ではあるが)ジミはどう過ごしたか?そしてジミの死後のスタジオの行方…

ジミ含め周囲のミュージシャンやスタッフ達がここにどれだけの可能性を感じていたか?が関係者達の証言により浮き彫りになる。だけに早過ぎる唐突な死が悔やまれる。

ちなみに“エレクトリック・レディ”は勿論彼の(バンドの)3rd『エレクトリック・レディ・ランド』から。

この3rdの録音に要した費用がとんでもない額になったことが私設スタジオ構想の一因。

※ シネマ神戸②で観てたらこのスタジオから生まれた作品としてビリー・アイドル『反逆のアイドル』 (1983年)とアイアン・メイデン『頭脳改革』 (1983年)が紹介されてた!シネマ神戸②では今後両者のドキュメンタリー上映!『頭脳改革』はバハマのコンパス・ポイント・スタジオでの録音/エレクトリック・レディ・スタジオでのミキシングだそう

 

ジミ・ヘンドリックス「アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970

シネマ神戸

亡くなる2ヶ月前に出演したフェスの模様や関係者へのインタヴューを収録した『Jimi Hendrix:Electric Church』(アメリカで2015年にTV放送〜2019年に劇場公開)から演奏部分だけを抜粋した作品。

メンバーはエクスペリエンスからミッチ・ミッチェル(Ds.)、バンド・オブ・ジプシーズからビリー・コックス(Ba)。

圧巻の演奏の数々、その果てのラストのあれは見事。

 

イエス イエスソングス ライヴ・イン・ロンドン1972

(1975年/アメリカ映画)ピーター・ニール監督

配給:REWINDERA PICTURES/WOWOW

シネマ神戸

『こわれもの』(1971年)&『危機』(1972年)といったイエス史&プログレ史に残る名盤をリリースした彼らの『危機』直後のツアーの一環でのロンドンのレインボーシアターでのパフォーマンスを収録。

そもそもが1975年にアメリカで製作・公開された映画であり、要所要所にロジャー・ディーンのアートワークやシュールな映像(ミジンコ?)がフィーチャーされたり、ライヴ全編でなくバスっと切られまくる編集が今なら独特の味わい。

当時のライヴ映画ならではの制限ある尺内でこの時点の代表曲の網羅でなくソロコーナーも入ってたりするのが謎度高いですが、お陰で各プレーヤーのポテンシャルの高さは堪能できますな。

まぁ、何よりスティーヴ・ハウだろ。忙しなく様々なギターを操り、多彩な音楽性を投入する上、好青年。

そりゃカメラも彼を追うよ。

一方のリック・ウェイクマンは花があり過ぎるのに音の面では意外に目立ってないんだよな〜。ソロコーナーは鬱憤溜まってたかのように弾き倒しておりますが。

あとはオリジナルメンバーの2人、

ジョン・アンダーソンは驚く程に地味。

クリス・クスワイアは派手なパフォーマンスじゃないのにカメラ映えするな。

アラン・ホワイトがふらりとステージに上がった流しのドラマーの兄ちゃんってないでたちで、しかもほとんど映りませんが、それもそのはずで前任のビル・ブルーフォードが抜けたのはこのツアーが始まる1週間前なのである。

ちなみにこのツアーの音源はライヴアルバム『イエスソングス』(1973年)としてリリースされてますが、一部それ以前のツアーの音源もあるため、ブルーフォードとホワイト両者の演奏がそれぞれ収められている。

まぁ、印象的なのがメンバーが皆楽しそうに演奏している姿。相当にプログレ化に手応えを感じていたのだろう。翌年にはよりプログレを推し進めた『海洋地形学の物語』をリリースしますが、それはバンドの崩壊の始まりでもあった…

※ シネマ神戸②で現在上映中の『クリーム フェアウェル・コンサート1968』、このライヴの前座を務めたのがデビュー直前のイエス。意外な組み合わせな感じもしますが、この頃はまだプログレ化する前でクリームやジミヘンに近い音楽性でありました

つげ義春氏を最初に知ったのは…
間接的な形では江口寿史著『爆発ディナーショー』(1991.7.1)収録の「わたせの国のねじ式」だ。

わたせせいぞう氏の描く世界にねじ式の主人公が迷い込み医者ならぬ便所を探すマッシュアップ作品。

中3の時リアルタイムで買って読んだ。
でも元ネタは知らなかった…

同じく中3の時に竹中直人氏の映画監督デビュー作『無能の人』(1991.11.2)が劇場公開。
随分話題にはなっていたし、漫画原作なのも情報として得てたけど、まだその原作者がどんな人なのかは掴めてなかった。結局見たのは大人になってから。

つげ義春氏の存在やその作品をちゃんと知ったのはSTUDIO VOICEの名特集『マンガのパースペクティブ』(1993年11月号)が最初だ。高2の時。

ここで「わたせの国のねじ式」の元ネタと『無能の人』の原作者が一つに繋がった。

同年『ゲンセンカン主人』を石井輝男監督が映画化(1993.7.24)。

でもちゃんと読んだのはもう少し後。
1番最初に買ったのは『ねじ式・紅い花』(小学館/1988年刊)。
多分二十歳ぐらい(1990年代半ば)だったと思うけど当時はまだ古本屋でない本屋にも並んでてとりあえずオリジナルの「ねじ式」読みたさに購入。
所謂“奇跡の2年”に描かれた作品群が中心。

まぁ、ハマった訳ですが、とは言えこれ買ってから約四半世紀はこれしか持ってなかったんだよな…


長年一冊のみを愛読していたつげ義春作品でしたが、他も揃え始めたのはここ2-3年の話。きっかけは特にないんだけどコロナ禍以降古書店通いが増えたのが大きいかな。



ここ2-3年で自分の中で四半世紀“奇跡の2年”のみの存在であったつげ義春氏のBefore & Afterに触れられたんだよな。

Beforeでの様々な試作(時代劇/青春/SF etc.)、AfterのMore不条理やMore旅情、そしてMore私情…

もっと早く出会いたかった!


先日もまんだらけ寄って『つげ義春作品集2 ヨシボーの犯罪』(小学館/1992年刊行)を購入したばかりでした。


お疲れ様でした。ありがとうございました。


クロード・シャブロル傑作選

『不貞の女』

(1969年/フランス・イタリア)

クロード・シャブロル監督

配給:コピアポア・フィルム

シネマ神戸②

美しい妻と可愛い息子との幸せな家庭をもつ主人公を襲ったのは妻の不貞への疑念。囚われてしまった彼は知り合いに探ってもらい証拠を掴んでしまう…

愛と裏切り、そして罪と罰。ありがちなメロドラマやサスペンスに陥らぬ珠玉の演技/出。

にしても当時の妻であるステファーヌ・オードランにまたこんな役やらすんだからシャブロルったら…

あと終盤のカメラワークが堪らん!


アメリアの息子たち

(2024年/ポルトガル)

ガブリエル・アブランテス監督

配給:Cinemago

シネマ神戸②

DNAの検査により生まれて間もなく生き別れた家族と再会する機会に恵まれた主人公が、自身の出生の秘密を知ると共に辿る恐怖を描いた作品。

フランシスコ・デ・ゴヤの絵画に着想を得た作品で、捻りの効いたアイデアと美醜が拮抗する怪奇描写が魅力。

※ ちなみに上映前の予告に『エリス&トム ボサノヴァ名盤誕生秘話』が流れてて、そこからの劇中に「イパネマの娘」流れて映画とは別のラインで戦慄(笑)!


『カリギュラ』究極版

(オリジナル:1980年/イタリア・アメリカ//究極版:2023年/アメリカ・イタリア)

オリジナル:ティント・ブラス監督/ジャンカルロ・ルイ監督

究極版:(主要撮影)ティント・ブラス監督/(プロデュース)トーマス・ネゴバン

配給:シンカ

シネマ神戸②

実在のローマ帝国皇帝の強権と狂気に満ちた生涯を描いた(色んな意味で)伝説の映画のこれは本来スタッフやキャストが目指していた形で復元した版。

そもそもはペントハウス誌を創刊したボブ・グッチョーネが私財を投じ製作を始めた映画であるが、出来に満足しなかった彼はポルノシーンを勝手に追加・編集、公開された映画は酷評されたが大ヒットした。しかし、スタッフ&キャスト陣からは当然総スカンだった。

昔VHSで見た記憶はあるんだけど全然覚えてなかった…

確かに過激なシーンもあるんだけど、やはりマルコム・マクダウェル演じるカリギュラの狂気が強烈よね。

正直長いなとは思うんだけど、ここまで描き切ってた当時のキャスト&スタッフはあっぱれですよ。

あと今回この復元を執念でやり通した面々には拍手を送りたい。

腐敗した権力が跋扈する今この世界に広く響いて欲しい作品だ。


ショート・パルス 5つの鼓動

配給:グッチーズ・フリースクール

元町映画館

❶空音央監督「まっすぐな首」(2025年/日本・中国)

❷ヨルゴス・ランティモス監督「二ミック」(2019年/ドイツ・アメリカ・イギリス)

❸&❹ジョナサン・グレイザー監督「ザ・フォール」(2020年/イギリス)&「ストラスブール1518」(2020年/イギリス)

❺アリーチェ・ロルバケル監督&JR監督「都市の寓話」(2024年/フランス)

以上5本のラインナップによる日本独自で編まれたオムニバス作品。

それぞれに撮られた時期も当然目的も違う作品ばかりな上に、どの監督もアク強いのでてんでバラバラな訳ですが、不思議と共通のトーンがあったな。構成も良かった。

是非こんな企画は今後も続けて欲しい。

 ロカルノ国際映画祭で最優秀短編映画賞受賞。原作は楢崎萌々恵さん。目覚めて痛みのある首が誘う身体と心の奥底にある迷宮。撮影は小田香監督で、こちらも元町映画館で上映中だった『じぶん、まる!いっぽのはなし』でも撮影を担当してましたね。

❷“らしい”設定と展開と演出がスパークする12分。マット・ディロンとダフネ・パタキアが狂演。あっ、リュック・フェラーリ使ってた?エンドロールでチラッと見掛けた気がする。

❸フランシスコ・デ・ゴヤの絵画に着想を得た作品。まぁ、怖い!怖い!怖い!こんなシンプルなアイデアとシチュエーションでここまでの未知なる恐怖を描けるものか…

❹1518年のストラスブールで実際に起きた“踊りのペスト”をコロナ禍の隔離下で再現。各ダンサーのパフォーマンスが驚異的。

❸&❹共に音楽は『関心領域』でも組んだ天才ミカ・レヴィ(a.k.a. ミカチュー!)。めちゃくちゃカッコよかった!音源出してくれ!!!

❺プラトンの『洞窟の比喩』の引用、レオス・カラックスの登場、挿入されるのはJRが手掛けた2023年にパリのオペラ座前で行われた150人参加のダンスパフォーマンス『カイロプタラ』。このパフォーマンスのサントラを担当したのはトーマ・バンガルテル(元ダフト・パンク)。音源を編集した12インチが出てたので鑑賞後取り寄せました!

※元町映画館では『ショート・パルス 5つの鼓動』の後に『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版が組まれていてレオス・カラックス梯子になりました。


レオス・カラックス4Kレストア版

『ボーイ・ミーツ・ガール』

(1983年/フランス)

レオス・カラックス監督

配給:ユーロスペース


元町映画館

23歳で発表したデビュー作(1983年)。

実は元映のスクリーンでは2016年の6周年企画で35㎜フィルムで一度上映されていて、今回それ以来の鑑賞。

ドニ・ラヴァン演じるアレックスが街中で女性と出会い恋に堕ちるのはこの後続く3部作共通。デヴィッド・ボウイも流れる。撮影のジャン=イヴ・エスコフィエとは3部作を共に撮り別れた。

ポンヌフ➡︎汚れた血と辿ってから今作を初めて見た時は随分地味な映画でデビューしたんだなと思ったものですが、見返すごとにどんどん愛おしさ増す作品。

ちょっとしたエピソードや会話や仕草にツボつかれる。

またラストがねぇ…。デビュー作でこれをやれちゃえるんだもんなぁー


マーズ・エクスプレス

(2023年/フランス)

ジェレミー・ペラン監督

配給:ハーク/トムス・エンタティメント

塚口サンサン劇場

吹替で鑑賞。

人類が火星にまで居住区を拡げた未来、ロボット工学は驚異的な進歩を遂げた一方厳格な法律でその行動を制限されてもいた。

そんな社会で起きたある事件を調査する私立探偵と相棒(元人間/現ロボット)の物語。

これが長編デビュー作となった監督は最新の科学技術をもとに今作を作り上げたとか。

リアルな世界観とセンス・オブ・ワンダーが心地好く同居し、そこをスリリングなサスペンスと人間ドラマが疾走する。

ジャパニメーションからの影響も勿論大きいのだろうけど、キャラ萌え度が希薄故のドライな感触がよりリアリティの強度高める。

終盤はかなりハードなSF展開でこっちは燃えた。


TOGETHER トゥギャザー

(2025年/アメリカ・オーストラリア)

マイケル・シャンクス監督

配給:キノフィルムズ


塚口サンサン劇場

関係性を修復すべくある田舎へと移住した恋人同士が、現地で奇妙な現象に見舞われ始め…

監督はオーストラリア出身でこれが長編デビュー作。

主演のアリソン・ブリーとデイヴ・フランコは実生活でもパートナーである。

昨今流行りの奇天烈設定の映画の一本かと高を括ってたところあるんですが…いやぁ〜むっちゃ好みやった!

そもそもボディホラーは好みなんだけど、最近ちょっと食傷気味…な気持ち吹っ飛ばす愛と変態(=Transformation)度でガッツポーズ!

惜しむらくは最後のアレのインパクトの為に同僚の教師の真相をもうちょっとボヤかしておいて欲しかったかな?ってとこだけど、それは些細なことだ。


きょうとシネマクラブvol.10

「審判」  

(1999年/韓国)

パク・チャヌク監督

京都シネマ

最新作『しあわせな選択』が公開中の監督の日本未公開の1999年製作の短編作品。

フィルモグラフィー的にはブレイク作となった3作目『JSA』(2000年)の直前だ。

ある事故で亡くなったった身元不明の女性の遺体が安置されている霊安室。

行方不明だった自分たちの娘ではないか?と名乗り出た夫婦と共に職員や刑事や記者たちによる葬儀が始まるが…

僅か26分のワンシチュエーションのドラマの中に様々な思惑が交差し、そこに韓国社会が抱える様々な問題が浮かび上がる。

不敬さや不穏さの配分、緊張と緩和も見事で、終盤の畳みかけには鳥肌。

天才の爆発寸前のコアな部分がギュッと詰まった怪作!