マッツ・ミケルセン | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

マッツ・ミケルセン、1965年11月22日デンマークのコペンハーゲンに生まれる。

体操選手を目指していたものの、プロダンサーになり約10年活躍、1996年に演劇学校に入り役者としての活動も始めたそう。

彼が世界的な知名度を得たのは『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)への出演から。

その後の現在に続く大活躍はご存知の通り。

 

ここ日本でも2025年に、

《北欧の至宝》マッツ・ミケルセン生誕60周年祭

 

が全国で開催される程の人気を博しております。

またこの時の上映ラインナップが一癖も二癖もあって…

1.『ブレイカウェイ』

(2000年/デンマーク・スウェーデン)

アナス・トマス・イェンセン監督

※母国で歴史的大ヒットを記録しデンマーク映画史上の最高傑作とも謳われるクライム&青春ストーリー

※日本劇場初公開

2.『フレッシュデリ』

(2003年/デンマーク)

アナス・トマス・イェンセン監督

※ある精肉店を舞台にグロテスクな笑いが展開する怪作

※日本劇場初公開

3.『アダムズ・アップル』

(2005年/デンマーク・ドイツ)

アナス・トマス・イェンセン監督

※田舎の教会を舞台にした破天荒な信仰と再生の物語が展開

4.『アフター・ウェディング』

(2006年/デンマーク・スウェーデン)

スザンネ・ビア監督

※ハリウッドで『秘密への招待状』(2019年)としてリメイク

※アカデミー賞外国語映画賞ノミネート

5.『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』

(2012年/デンマーク・スウェーデン・ドイツ・チェコ)

ニコライ・アーセル監督

※王政末期の18世紀デンマークのスキャンダルを描いた歴史劇

※ベルリン国際映画祭脚本賞&男優賞受賞

6.『偽りなき者』

(2012年/デンマーク)

トマス・ヴィンターベア監督

※小児愛者の疑いをかけられた幼稚園教師の男性の苦悶を描く

※カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞

7.『メン&チキン』

(2015年/デンマーク・ドイツ)

アナス・トマス・イェンセン監督

※ある兄弟のルーツ探しの旅は驚愕の道程を歩むことになり…

※日本劇場初公開

 

実はこのラインナップ、日本での劇場公開作品はどれも観てなくって…正直かっこいーのは分かるけど何でそこまで人気あるんだろ?だったところもあり…とりあえずその確認も込みでシネマ神戸②での上映の1本目となった『ブレイカウェイ』を観てみたら…めっちゃおもろい!これはコンプリートしてやる!ってなったんです。

結局『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』だけは観られなかったんですが、他がどれも傑作で、しかしどれもマッツ変なキャラだったり・劇中ボコボコにされたりと“至宝”のイメージから程遠くそんな観点からも奇妙な愛され方してきたんだなーと。

 

さて、現在マッツ・ミケルセンの映画デビュー作となった『プッシャー』(1996年)から始まる3部作を映画デビュー30周年記念として4Kデジタル修復版で全国で上映中です。

 

プッシャー3部作【4Kデジタル修復版】

 

監督は全作ニコラス・ウィンディング・レフン。

 

個人的にこのシリーズは、

 

内で、特集上映が開催されたシネマ神戸観ました。
2023年始の話。

 

ではここからシリーズを観た当時の感想をまとめましょう。

 

『プッシャー』

(1996年/デンマーク)

レフン24歳で手がけた初の長編にして批評・興行ともに成功をおさめた作品。

主人公の相棒を演じたマッツ・ミケルセンはこれが長編映画デビューとなった。

麻薬の売人(プッシャー)としてその日暮らす能天気な主人公が、ある事件をきっかけに転落して行くさまを、時にコミカルに・時にシリアスに描く。

タランティーノ以降ともいえそうな下品な会話の応酬と限度なしのヴァイオレンス✖︎同時期のトレスポともシンクロする青春模様。

まだまだ青いし粗いが、ハッとさせられる編集のセンスが光る。

終盤登場する超アンダーグラウンドなクラブの描写、アシッドなテクノサウンドでアゲといてからのあのエンディング!最高だな。

 

『プッシャー2』

(2004年/デンマーク)

レフンのキャリア的には前作のあと、2作目『ブリーダー』(1999年)をはさんで撮られた3作目にして初の英語作品『Fear X』(2003年)が興行的に失敗、その負債を返すべく撮られたのが『プッシャー』の続編2本。

8年後の続編となった2は物語的につながってはいるが、前作の主人公の相棒(マッツ・ミケルセンが続投)が今回は主役へ昇格、作品のトーンも違う。

今回も麻薬の売人たちが行き交う物語ではあるが、主人公はあくまで更生を目指す。その一方で彼の家族の物語が並走し、そこに社会問題的な側面も炙り出される。

前作につづきマッツ・ミケルセンがドジで抜けてるんだけどお人好しで憎めない人物造形を見事に構築。そんな主人公がさまざまな出来事をへて徐々に変化する内面を演じ切る。

前作に比べると演出も映像感覚も抑制が効いている。どこを削ぎ落とし、どの強度を磨き『ドライヴ』へと至ったのか?は非常に興味深い。

 

『プッシャー3』

(2005年/デンマーク)

シリーズ史上最悪に堕ち・超絶グロい!しかし面白い!

1作目で主人公が借金している組織のボス(2作目にもちょっとだけ出ている)だったミロが今回の主人公。

もちろん今回も麻薬密売人たちのトラブル、堕ちていくさまが描かれる。

本人は麻薬との縁を切りつつも、組織の・家族のために密売ビジネスは辞められない主人公が、思わぬトラブルに巻き込まれて、その威信とプライドを守ろうとするがゆえに負のスパイラルはおさまらず…

 

青春の光と影的な1、逃れもがくさまが時に悲哀もよんだ2、と来てもうどうしようもない堕ちっぷりでシリーズを〆る3。終盤のあれでのグロ描写のギアの入りっぷりには仰反りましたが、ユーモアは忘れない(のも怖い)。

あとこのシリーズの面白さは多民族な文化圏のあの軋轢のリアリティにもあるな。

2010年のヒンディー語版リメイクや2012年の英語版リメイクも観たいぞ!

 

さて気になる関西での上映スケジュールは…

 

現在、

シネマ神戸

kino cinéma心斎橋

テアトル梅田

アップリンク京都

でご覧になれます。

 

またシネマ神戸 では、《北欧の至宝》マッツ・ミケルセン生誕60周年祭のアンコール上映も開催中!併せてお楽しみください。

 

【追記】

6/19(金)から新作も日本公開!

強盗事件で服役した弟とその大金を隠した兄、15年振りに再会するが兄はその記憶を失っていたどころか自分をジョン・レノンだと思い込んでいた…

兄をマッツ・ミケルセン、弟を生誕祭での上映7作品中4作品でマッツと組んでいたニコライ・リー・コスが演じております。

監督・脚本はこれまた生誕祭で4本の監督作品+原案・脚本を手掛けた『アフター・ウェディング』が上映されたアナス・トマス・イェンセン(いわばあの生誕祭は彼の映画祭でもあった)が担当しております。

楽しみ!!!

 

さよなら、僕の英雄

(2025年/デンマーク・スウェーデン)

配給:スターキャット/アルバトロス