月に囚われた男 | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

『月に囚われた男』
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2010年5月、mixiでのレヴューを転載。
(2009年イギリス)ダンカン・ジョーンズ監督

まだ邦題も決まっていない頃から、あのボウイのご子息が大好きなサム・ロックウェルを主演にSF映画を撮ったって情報だけで、もう期待にはち切れそうだった今作。 
やっとこさだね。 

設定を耳にした時から、例えば『惑星ソラリス』とか『ガタカ』、『2001年 宇宙の旅』に『ダーク・スター』とか、数々の宇宙を舞台にしたSF映画の名作(+手塚治虫や星野之宣の漫画なんかも)が頭を過ぎったのですが、元々監督+サム・ロックウェルの共通項が70~80年代のSF映画のファンだった事だとか。 

月での3年間の単独業務も終わりを間近に控え、地球への帰還に気持ちの逸る主人公サムは、ふとした瞬間に幻覚を見始める。その幻覚が元で事故を起こし大怪我を負った彼は、目覚めると大いなる疑問と違和感に囚われる事になる。やがて・・・ 

オープニングの月でのシークェンスの数々から、SF映画ファンの心が囚われ捲くります。 
月面を走る作業車のちとレトロなデザイン。室内でのロボット“ガーティ”との遣り取り。機械や器具の細やかな拘り。 
特に“ガーティ”の設定が秀逸で、今時ならもっと洗練されたフォルムや機能を持たせてしまうのに、あくまでSF的ハッタリや遊び心に忠実に作られてて、声を担当したケヴィン・スペイシー(!)の抜群の声色も手伝って愛おしくなってきます。 

ストーリーの方も近年では稀になった、SF的大風呂敷と深淵なる哲学が矛盾無く同居してる理想的な設定+展開で、そうなんだよなー、こんなSFが好きだったよなー。 

何でも予算は500万$。撮影期間は33日!演者はほぼ一人。監督は新人。 
そんな状況をどれもこれもプラスに転じさせ、全く低予算臭を感じさせないんだから大したもんです。 

監督は上記した様にあのデヴィッド・ボウイの息子。 
母親はストーンズの「アンジー」で歌われたアンジェラ・バーネット。 
両親が離婚した後はボウイの元で育てられ映画や美術等の英才教育を受けたそうだ。羨ましい・・・ 
しかし、監督が言うに父親の音楽だけは聴いてないそうで(笑)、本当かよ?と疑っちゃいますが、自分の肉親だったらそんなもんかもね。主演の映画も見てないとか。面白いのにね~ 

まぁ、初作にしてはちょっと落ち着き過ぎだなーとは思うんですがね。 
もっと破綻しそうな程の情熱や暴走があっても良いかなー?とは思った。若い頃(とは言っても監督は39歳だけど)には若いからこそ出来る事もある筈で、そんな抑えの利かない才気とかこそ後々にフィードバックするものだと思うのですよ。 

うん。でも、これは純粋に広くお勧めできる作品。 
多分、大物になるだろうしね。 

是非いつかこれをリメイクして下さい!
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