『恋人たち』
2015年の、いや、この2010年代を象徴する一本であろう。
ギシギシとすれ違い・掛け違いする、ぶつける事の叶わぬ想い達が軋み・滲み、スクリーンが嘗て味わった事のない揺れを起こす群像劇で、そのどれもが目を覆い・逸らししたくなる程にリアルな今をその言動に捉えていた。
観た直後の感触は『ヘヴンズストーリー』を思い出したんだけど、より“映画的な”感動があったあちらより、こちらはもっと密接した、まるで渦中に放り込まれたかの様な混乱あった。
細やかなエピソードのチョイスと、その積み重ね方がもう卒倒しそうな程に巧い。
もう、感心するとか感嘆するとかでなく、余りの生々しさに思わず嫌悪感抱くよ。
あんなサランラップの代用とかさ…そんなん何処で思い付いたんよ!レベルのが巧みに積み積もり、それが凄まじい負のベクトルへと連なるんだよね。
でも、それが絵空事でなく、今を克明に浮かび上がらす訳で。
群像劇ではあるのだけれど、数多のそれらとは随分感触が違って、人と人との間に生まれる関係性の、一方からの光・他方からの影との切り替えしが凄まじいドラマを生んで行くんだよね。
ホント、鬼か?悪魔か?って切り替えし。
有名・無名関わらず役者陣が皆好い。
もうメインどころ全員主演・助演総ナメでもええんやなかろうか?
いやはや、最早演技を越え、そこにもうその役として生きて来た痕跡が見えた。
篠塚アツシ役の篠原篤さんは今作で初めて知りましたが、とんでもない人出て来たな。
あの思わずカメラマンが気迫に負けたんじゃ…?なシーン、今年一番の鳥肌。
高橋瞳子を演じる成嶋瞳子さんがまたとんでもなくって、あの家庭で長年身体に染み込んだ凡ゆる物から一気に解放される瞬間の表情!しかも明星の音楽がまた!
今年の映画館での一番のトキメキ⭐️
で、瞳子の鬱屈していた心身がパーっと解放された光を存分に見せておいてからの、一転落とし込む影ね…
光石さん、すげェわ。
明星の音楽、予告観た時にも鳥肌立ったんですが、素晴らしくこの世界に溶け込んでたな。
相当に大変な仕事だったと思いますが。


