面白かったなぁ。
この多用されてる写真からだとイメージ沸きにくいけど、四話共瑞々しい!
勿論エドワード・ヤン監督作に注目行くんだけど、他作品も凄く心躍る。
70年代末に勃発した香港ニューウェイヴに感化され、旧態依然とした台湾映画界に危機感を覚えた台湾の映画人達が、若い才能達に監督する機会を与えたのが、エドワード・ヤンらが参加した『光陰的故事』(1982年)と、ホウ・シャオシェンらが参加した『坊やの人形』(1983年)だった訳やね。
エドワード・ヤンの映画監督デビュー作が収録されているってだけでなく、台湾映画界のニューウェーヴの先陣を切った記念すべきオムニバス作品でもある。
四話それぞれが1960-80年代の監督達のリアルタイムの成長とリンクして進む構成も乙。
第1話「小龍頭」(タオ・ドゥツェン監督作品)
幼子の季節。
優秀で両親からも可愛がられる兄弟と比較され、自らの意思を上手く伝える術も持たぬ主人公。
恐竜(=龍頭)好きな彼は学校にも居場所はなかったが、両親の知り合いの娘だけは彼の才能を認めてくれた。
が、しかし…
ラジオやレコードプレーヤー等の文化革命の足音。
アメリカへ移住する人々。
優秀な兄弟のあの姿に、例えば香港を重ねてみたり…
第2話「指望」(エドワード・ヤン監督作品)
思春期の目覚め。
母・姉と暮らす中学生の少女が、家に居候を始めた大学生の男性に惹かれ出す想いに気付き…
一方でいつ迄も無邪気に子供のままな幼馴染の男の子の存在が疎ましくなる。
もうこの時点で、溢れ出る才能を巧みにコントロールした圧倒的な完成度を誇ってるエドワード・ヤンの初作。
光の捉え方がまぁ、素晴らしい訳ですよ。
あの“目覚めた”朝の、僕ら男には知る事ないであろう陽光を捉えたショット!
当たり前の様に流れるビートルズ楽曲や、TVに映るベトナム戦争のニュース。
幼馴染の男の子が念願だった自転車に乗れる様になって吐く言葉が胸に痛い…
第3話「跳蛙」(クー・イチェン監督作品)
青年期。
うだつ上がらぬ大学生の主人公の一発逆転な跳躍を、リアルな日常描写の中で追う。
他三本とは少し違う熱量持った今作が一番当時の彼ら(監督達)の素直な声な気がする。
周りの声も聞かず、黙々と自らの鍛錬に勤しみ、存在すら眉唾な目標へと向かう主人公の姿は、当時の台湾映画界の若人達でもあろうし、80年代に爆発する寸前の台湾そのものでもあるか。
第4話「報上名来」(チャン・イー監督作品)
台北に引っ越して来たばかりの夫婦が、“現代的なお約束事”で以って、途端都会の中自分の存在を失ってしまう恐怖を、とてもコミカルに描いている。
これは、抜群に面白かったし、国や時代越えて響く題材だよね。
そして大人になる事。
60-70年代の台湾で過ごして来た人々が辿り着いた80年代頭の空気。
“光陰的故事”の構成もまた巧いな。
だからこそ、4話目を経て掴める物ある。
今作に先行するエドワード・ヤンのTVドラマでの監督デビュー作にも関わったシルヴィア・チャンは台湾ニューウェーヴの重要人物。
近年では『ブッダ・マウンテン』が忘れられない。
引越しで整理出来ていない荷物の中にドアーズのレコードあったのが印象的。
観終えて、去年の“台湾巨匠傑作選”のパンフ引っ張り出して来た。



