バンクーバーの朝日 | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

2014年12月 @ 姫路OS

『バンクーバーの朝日』は手堅い。
今の石井監督だからこそ手繰り寄せられた題材・キャスト、正直手に余ってる感はあったものの、その果敢さは評価したい。

『舟を編む』『ぼくたちの家族』と、それ以前の作風の記憶を吹き飛ばす名作・力作を紡いだ石井裕也監督が、いよいよ決定打放つか!?な、期待に応えぬ(笑)のは確信犯か?それとも… 


このキャスト、この題材、そしてここんところの石井監督のキャリアを思えば、そりゃ、壮大に泣かす大感動を期待させもするものの、全くそっちにベクトルは向かない。

これは驚く。ものの、考えれば前二作だってそうだったか。 


そもそも多く指摘されてる様に肝心の野球シーンが全く高揚しない!これはある意味凄い。

そして、例えば日系人の当時の混乱や憤りにフォーカスするのか?と思えばそこも割りにあっさり。
唯一浩市さんが熱いものの… 


その浩市さん演じる父親と家族との軋轢の熱量は高いものの、そこにもすぐ冷却水掛けちゃう石井監督の肝の座りっぷりは凄い(笑)。
ここまで徹底すると、こりゃ敢えてなのかな?と邪推しちゃう。 


特に今の邦画界の縮図みたいなメイン5人の絡みには多いに期待しただけに、ちと残念な淡白さ。

美術や撮影(近藤龍人さんだ!)がすんばらしいだけにより際立つ。


でも、ここまで高揚させないのは当然狙いなんであろうし、その狙いに想い馳せると色々興味深い。

そもそも前二作は高揚すべきとこを抑える事で、より滲み出る想いにグッと来た訳で、もしかしたら今回も…だったのかしら?


しかし、ここでも矢張り池松くんは素晴らしい。
多忙故?途中前線離脱するものの、出てるシーンは全て至福。
先ず何より彼のあの声だよなぁー。物語のスピードや重力が歪み、奇妙な磁場出来る。


あとは高畑充希ちゃん!
もうね、彼女のあの表情!瞼の律動!
その躍動が胸を掴む。

何よりおっきなスクリーンに映える!映える!

今もっとも映画で観たい顔である。
もっとガンガン映画出てよね。


一方で折角の宮﨑あおいや貫地谷しほりが友情出演な存在感の希薄さで残念…
本上まなみなんて、全然絡まないし… 


しかし、石井くんはどこへ向かうのか?
まだまだその動向にハラハラさせられたい。