ヒッチコック尽くここんとこ、『裏窓』に続き再登壇。これまた当然傑作。
お得意の巻き込まれ型サスペンスと、色々とご都合良いロマンスとが、スクリーン目一杯、エレガントに横たわる。
あのセスナ機に狙われるシークェンスや、ラッシュモアでの逃走劇、と、大きなスクリーンで改めて観ると、その円熟と冒険とが挑発し合い踊り出すかの様な鬩ぎ合いに、この監督の長い現役感の一端を見出せる。
『北北西に進路を取れ』(1959年)、先日観た『海外特派員』(1940年)なんかと比べると流石にあの猛々しい迄のスピード感は後退しているし、ユーモアのスマートさも薄らいだ。けど、エレガントさが増量してて、目に心地酔い。
あの有名なセスナ機に襲われるシーン、あそこ改めて劇場で観直すと、奇妙な真空感覚あって、あの間合いの取り方、空間の捉え方に、ヒッチコックの、ヒッチコックたる所以を見た。
思えばこの後にヒッチコックは『サイコ』(1960年)『鳥』(1963年)へと突入する訳で、その直前で自身の激動の1950年代を総括したかの様にも思える。

