グラウンド・ゼロで水牛楽団 | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

2009年9月、mixiでのBlogの転載。

最近よく聴いているCDが『孤高』。
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フランス映画界の異端児フィリップ・ガレルが1973年に撮った映画『孤高』。の、気配を音象化した奇妙な作品。
『孤高』は監督の公私共にパートナーだった歌手ニコと一時恋仲であった女優ジーン・セバーグの姿をただただ追った映像が無造作に並ぶ作品。らしい。と言うのも未だ見れていないから。
この映画、その映像はまったく編集もされておらず、クレジットはおろか音声・音楽すら付けられていないのだ。
その作品の2002年のリバイバル上映時に、その場で即興に音を付けた様子をまんまCD化したのが本作。
無声映画にリアルタイムで音楽を付けていく試みは目新しいものでもないのですが、この作品が孤高なのは実は奏者はスクリーンを見る事なく、スクリーンを背に観客や映写機をガイドに演奏しているのだ。だから、作品に対しての音ではなく作品を見ている・流れている場の空気を音象化してると言うのが正確だろう。
メンバーはターンテーブルで大友良英さん、ギターで杉本拓さん、サインウェーヴでSachiko Mさん。そして映写機もそこに名を連ねている。
で、CD。これがまた最初聴いた時驚いたな~。ここには一切一般的な音楽的要素は無い。メロディも無ければハーモニーも無い。勿論ビートも。それ以上に音楽的なフレーズすら一切皆無だ。鳴らされる音も極限まで信号化されている。そしてその根底に幽かに鳴り続ける映写機の無機質な音。と、場の緊張感溢れる空気。ここまで音楽的な要素が欠落している作品も中々遭遇できないのですが、これが全くもって音楽的に響くのだから凄い。感性のその奥の感覚に届くのだ。

大友さん恐るべしだろう。盟友Sachiko Mさんとはデヴィッド・シルヴィアンの新譜に参加してるんですよねー。楽しみでもあり戦々恐々でもある。

大友さんの近年の凄まじい活動の幅と量には驚嘆を禁じえないのですが、全然追っかけられてないのが悲しい。

初めて聴いたのはこれ。
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よくこんなの買ってたな~。DJ CARHOUSEが大友さん。MC HELLSHITとは山塚EYEさんっす。内容は大友さんが操るマジカルなターンテーブルのボケにEYEさんが驚異のヴォーカリゼーションで突っ込み入れるなんて感じ。聴いた人の殆どが悪ふざけに思うんじゃないかな~?な驚愕の混沌。この頃のこの辺の音源は未だグツグツ煮え滾ってて宜しい。
しかし8cmの『LIVE!』の方が12cmの『LIVE!!』より収録時間長いって(笑)。

1999年のこれとか持ってます。
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私が持ってるのは2004年のリマスター盤なんですが、1999年にこんな凶暴なデジタル・ノイズを発していたとは・・・

2003年の竹村延和さんとのライヴ盤も好き。
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大友さんのターンテーブルと竹村さんのコンピューター。勿論こんな二人の発する音は想像を遥か越えた境地で普遍の佇まいを魅せる。

映画音楽家としても今や大家ですよね。あの独特の風を映画に吹かしてくれる音の佇まい。『青い凧』『風花』『blue』『カナリア』etc.

グラウンド・ゼロとかジャズ系の作品、あとギタリストとしての作品…聴きたいのがまだまだたんまりです。



さて、そんな大友さんの音を生で聴けるのがこの23日。
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勿論パートナーは高橋悠治さん。



悠治さんは更に聴きたい音源たんまりなのだ。
結構持ってるのは持ってるのだけれど、それは70年代のものばかり。
2006年の再発時に揃えたんだよなー

悠治さんのキャリアなんて書き出したらキリが無いのだけれど、60年代にクセナキスに師事し、1970年代の驚異的な名盤の数々、そして現在まで続く貪欲な探求心。即興・コンピューター・民族音楽そして政治に到るまでまぁ驚異的なんですわ。
何でもっと一般的知名度高くないのかね?と不思議に思う。

『高橋悠治+佐藤允彦』(1974年作品)
ジャズ・ピアニストの佐藤允彦(がらん堂欲しい!)との録音作品。1曲目のらしいピアノ競演も素晴らしいが、その後のエレクトロニックを模索した(シンセサイザーが日本に入って来て直ぐなのだ!)世界観が絶品!
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『DISTANT VOICES』(1975年作品)
全くの即興演奏作品。様々な楽器(以外の日用品まで)を用いて展開される壮絶な音絵巻。パートナーはソプラノ・サックス奏者のスティーヴ・レイシーとタージ・マハール旅行団(これまた欲しい!)の小杉武久。

『クセナキス&メシアン:ピアノ作品集』(1976年作品)
彼のお師匠様である現代音楽家のクセナキスと、そのクセナキスのお師匠様であるメシアンのピアノ曲を演奏。凄まじい難易度と恐るべき理論で構築された楽曲をさらさら~と事も無げに(笑)。
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『TWILIGHT』(1976年作品)
ジャズ・ドラマー富樫雅彦さんと練りに練られ作り込まれた大傑作!様々な高度な理論やテクニックと半端無い感性、そして幅広い音楽的見識が高い次元でスパーク!教授や豊住芳三郎さんも参加。

『サティ:ピアノ作品集-1』(1976年作品)
悠治の奏でるサティ。ピアノはスタインウェイ。これ以上何を書けと言うのだ!
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『新ウィーン楽派ピアノ作品集』(1978年作品)
シェーンベルクによって確立され、その弟子ウェーベルンとベルクによって発展された新ウィーン楽派のピアノ曲を演奏。「四手のための6つのピアノ曲」には教授も参加。何とも不思議な緊張感と仄かな熱気。

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『ぼくは12歳』(1977年作品)
12歳で自ら命を絶ってしまった岡真史くんの残した詩を元に、高橋悠治さんが曲を作り、じゃりん子チエの声でも知られる中山千夏さんが歌った名作。少年の視線から綴られた純粋且つ力強い言葉の数々に、少年の出自でもある朝鮮半島の旋律やリズムを取り入れた曲。に、中山千夏の朗々とした歌が生命を与える。高橋+中山両氏の(本来の意味での)政治的視点も活きている。

トランソニックや水牛楽団での活動ももっと知りたいなー