irony | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

2008年5月、mixiでのレヴューを転載。

irony
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2000年代にリリースされたアルバムてアルバム単位で印象に残るもの少なくなってしまって寂しいですが…これは本当アルバムという芸術表現を存分に味わう事のできた大傑作でしたね。

絶対的に聴く数が少なかった中高生の頃はステレオの前で正座して音楽聴いたり、真夜中に真っ暗にして隅々まで音を堪能したりという事もありましたが、やがて膨大な音源が手に入ると”ながら聴き”が当たり前に…しかしこれは久々にステレオの前から動けなくなる体験させてもらいましたよ。

ACOさんはデビューした頃のディーヴァ・ブームの先陣を切ったちょいエロいR&Bシンガー(当時まだ10代でした!)のイメージが強烈で少し引いてたんですが、3rd『レディ・ソウル』のプリンス張りの密室ファンクでおっと!思い、続くヒット作『アブソリュート・エゴ』で完全に虜になりました。砂原良徳さんやサトシ・トミイエさんの新たなる才能も引き出しちゃったところなんかもっと評価されるべきだな。そしてエイドリアン・シャーウッドまで本気にさせた大作『マテリアル』でそれまでのR&Bをベースにした音楽性から大きく逸脱してしまって、この後どうなるの?て大いなる期待の中届けられたのが本作。

現在もパートナーシップを結ぶタエジ・サワイ氏をプロデューサーに迎えエレクトロニカを大幅に取り入れ、彼女のミラクルな歌を存分に堪能できる音の万華鏡。当時一部で絶大な人気を誇ったムームをゲストに、オリエンタルな隠し味も効果的に利いており、全部で40分にも満たない非常に短い作品であるのにかかわらず、永遠に続いていくかの様な錯覚に囚われる桃源郷サウンド。

繊細なのに恐ろしい程強度を誇るそのサウンドは砂で描かれた曼荼羅や日本の庭園の砂紋を思わせます。
この世界は余りに居心地良すぎて抜け出せないぞ!
「巣箱」で飼われたい…

この後ベルリンに渡りダークなエレクトロニカ・アルバム作ったそうですがお蔵入りに(涙)。
聴きたい!!!!!

暫く間を空けての2006年のミニ・アルバム『マスク』やタエジ・サワエ氏と組んだユニット”ゴールデン・ピンク・アロー”では一転してポップでダンサブルなエレクトロニック・サウンドを展開しております。