フローズン/ブロークン | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

2009年5月mixiでのレヴュー。

新しい才能に遭遇してしまった時の興奮は何にも代え難い。

ショーン・エリスとの出逢いはあまりにさり気無く・・・

皆様『フローズン・タイム』と言う映画はご覧になられました?
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ショッピング・センターで上半身裸になっている女性のパッケージのインパクトでDVDを手に取られた方もいるでしょう。
私は公開する前に雑誌で紹介されていたスティールで気になってはいたのですが、ちょっとスノッブな雰囲気も感じたりなんかして暫く避けていたのですよねー。借りたのは新作落ちしてからでしたか。
しかし、これがまぁ面白かったのですよ。パッケージ等の気取った(風に見える)写真は監督の出自から来るものだったのですね。
画家志望の主人公の青年が失恋から不眠症に陥り、それによって瞬間をフリーズさせてしまう能力を得てしまう。それから巻き起こる騒動を描いたビター&スウィートな青春ラヴ・コメディ。
いやー、前半こそちょいとおバカなノリにアメリカのインディーズ映画(ケヴィン・スミスとかリチャード・リンクレイター)を想起したものでしたが、中盤以降の非常に詩的な文体(?)や予想つかない文脈(?)、そして何といっても息も止まるような美しい瞬間を切り取った映像に只者ではない才気を感じたのでありました。

そんな監督の新作が『ブロークン』。
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前作のロマンティックなムードはどこへやら。今回はヒリヒリと感覚を刺激するホラー・テイストのサスペンス。
主人公の女性(ターミネーターのTVシリーズに出演している女優さん)が父親の誕生日を開いた際に部屋の大きな鏡が割れる。そしてその日からそこに集った父親や兄弟、そのパートナー達の周辺に奇妙な現象が起き始める。
正直サスペンスやホラーとして見れば肩透かしな程単純なネタなのですが、街そのものを支配するかの如し凄まじき禍々しいムードや神経を逆撫でし恐怖を満ち溢れさす演出の手腕の巧みさに唸ります!

この監督、本職はカメラマンと言う事もあって映像の構図やその積み重ねが半端無く巧いのですが、前作はそれがちょっと鼻についてしまう作品でしたね。が、今回のはズッポリ嵌ってます。
前作では主人公の能力で時間が止まってしまうシーンが、今回では鏡が割れるシーンが重要なモティーフになっており印象的に多様されますが、そこで彼のカメラマンとしての才気が一気に爆発してますね。てか、そのシーンを撮りたいが為に映画を作ってるんじゃないのかしら?

てな感じのショーン・エリス。日本ではまだまだ無名に近いですが、次作・次々作で大化けする事間違い無いです。
さぁさぁ、その目でその感性で触れてみてくださいまし。