10人の映画監督と20本の不朽の名作 第五弾&第六弾 | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

2013年の7月20日~9月27日に掛けての感想の呟きを纏めました。

第五弾
相米慎二監督
『台風クラブ』&『セーラー服と機関銃』

この“10人の映画監督と20本の不朽の名作”もいよいよ折り返し地点。
ふーっと、一息付きたかったとこなのに、一番“ワヤ”になる二本をセッティングしてるなんて…
35㎜のカ・イ・カ・ンに巻き込まれろ!
   
相米監督の鬼の様な映画への愛と狂気で、塚口サンのシアター1はもう大変!
こんなにヤバいの、35㎜の鮮度で二度と観れやしませんで!
しかも二本続けてって…ダ・イ・タ・ン! 
若い頃はポジでもネガでもない、愛だとか哀しみだとか怒りだとかなんてカテゴリーに捉え切れない行動原理があるんだよな。
相米監督の、それをどうやればフィルムに焼き付けれるか?どう映画のダイナミズムに置き換えられるか?な果敢なる格闘。
に、対峙するに今回の塚口サンの企画は最適!
どうせ暗闇だ。
気にせずDanceせよ!

 『台風クラブ』 
あの年代だけが持ち得る、カテゴリー不可能の、ネガポジすら呑み込むパワーを、台風の到来の不穏さや奇妙なテンションへと絡ませ、しかも執拗な演技指導から生まれるリアリティと長回しが生むダイナミズムで以って、未曾有のラストまで劇場内を引き摺りこむ!
もうオープニングからバービー×長回しでテンションはマックス!なのに、その後何度も何度も、アガガガガ…と驚愕の画が次から次へと。何処ぞのお偉方が観ちゃったら、腰抜かす処か、失神しちゃうんじゃなかろうか!?
いや、まぁ、相米、鬼やな鬼…
この35㎜も呪われてる!
今となっては海外でも活躍する工藤夕貴さんの瑞々しくも危うい演技(あの布団のシーン…)が一番の見所ではありますが、校内に残された男子二人+女子三人の演り切りっ振りに拍手!大西結花さん、眼差しが残る!
まぁ、あの「もしも明日が」のシーンは流石にビビるな…
古い世代へと突き付けられる言葉や眼差しが、そちら側へとなってしまった今となっては痛くもありますが(だからって、“お前も15年の命だ”はないでしょ)、当時の相米監督の古い体質の映画界への思いを想像して透かしてみると、複数の視点がより映画を豊かにしてくれるんじゃ?
三浦友和さんにとってもここが大きな分岐点だったんでしょうね。ここまではアイドル的な人気だった訳でしょ?まぁ、あの自宅でのだらしない演技とか、当時のファンにはショッキングであったでしょう。
しかし、見た目が今も殆ど変わらないのは驚異だな。
そして、矢張り今と直近で繋げるなら尾美としのりさんですか。
前回の『時をかける少女』の少し後、あのうだつ上がらない若者振り…少しの出演なれど矢張り良い。
それと、鶴見辰吾さんね!
御二方とも巨匠に揉まれ、アイドル的なスタンスから抜け、今も第一線だ。
そうそう、『台風クラブ』ね、アレだ、『おおかみこどもの雨と雪』へと連なる部分にゾクっと。
何だ、この踊り場鏡ないのかよ!とかね(笑)。
{AE00A840-4BD9-4F18-B95D-66354FB8D5B0:01}
『セーラー服と機関銃』
今もタイトルと“カ・イ・カ・ン”が一人歩きしてる程の80年代を代表する大ヒット作なれど、何度見ても、見る度その異常さに悶える。
相米監督が、古い世代に引導渡すべく父(古き邦画)を殺した作品か?
邦画史の何度も振り返られるべき断層。
角川スタイルのアイドル映画って事で言えば、前回の『時をかける少女』と双璧なれど、印象は正反対。
あっちで過保護なまでに女優性を育まれた知世に比べたら、ここでのひろ子のいたぶられっぷり…例えば今ここまで演らせちゃう監督がいるだろうか?ここまで出来ちゃう娘は?
有名な機関銃のシーンのカ・イ・カ・ンっぷりの異様さは、矢張り劇場でこそ映える。
あの静寂の暗闇の中で撃ち抜かれた方々が、ほら、今の朝の茶の間を賑やかしてる訳でもあるのだから致命的な一撃だったのだろう。
薬師丸ひろ子さんの身体性高いね。
子供の様で、女性の様で、母親の様で、と、コロコロ表情だけでなく肉体から醸し出す柔らかさも変わる。
あの酒井敏也さん演じる組員を抱きしめるとこ好いなぁ。
そして、やっぱね、渡瀬恒彦さんが良い、無茶苦茶。
この、ある意味荒唐無稽な世界観にドーンとリアリティの重りを一人で担ってくれてる。
渡瀬さんとひろ子さんのやり取り、どこも至福なんですが、特にあの水槽挟んでの会話のとこ好きだな。
もう、その前夜にあんな風に助けられてメロメロに惚れちゃってるのが漏れ溢れててさ。
そんでもって、矢張り三国連太郎さん恐い。
そうそう、以前見た時も、うん?と気になり調べようと思いつつ忘れてた“クルージング”って言葉、そうなのか、アル・パチーノの映画から来てるのか(用語としては元からあるらしい)。

あまちゃんで薬師丸ひろ子に嵌る・若しくは再会した方にその魅力を存分に堪能出来る『セーラー服と機関銃』を。そして、あまちゃんで話題になった“相米長回しオマージュ”が気になった方には厭と言う程味わえる『台風クラブ』を。 
 この企画上映中メーターが最も振り切る二本と言っても過言ではない。
劇場暗闇でのDANCEのカ・イ・カ・ン!!! 

第六弾
森田芳光監督
『家族ゲーム』&『間宮兄弟』

間宮兄弟、森田芳光監督って作品に拠って好きなのと嫌いなのとの差が激しいんだけれど、これは好きな方のベスト3入るね!
うーん、名作!とか傑作!とかの類いではないんだけれど、彼のいつものケレン味が薄くって、その変わり細やかな演出に愛が充ちてる。
森田監督だと『39』『(ハル)』『間宮兄弟』がベスト3。
『家族ゲーム』は別格。
『の・ようなもの』『ときめきに死す』も好いなぁ。
『わたし出すわ』はもっと評価されても良い。
 何かね、不思議な監督ですよね。森田芳光さん。
すんごく楽しいシーンとかでも、不穏さある。
どこか覚めてるんですよね。
老齢に差し掛かって、どんな展開するのか期待したかった。

“10人の映画監督と20本の不朽の名作”もいよいよ後半戦!
森田芳光監督作品『家族ゲーム』、そして『間宮兄弟』観て参りました!
いやぁ~、不気味なまでに異様な家族ゲームに、どこ撮っても最強な間宮兄弟! 

『家族ゲーム』、兎に角不気味。
何でしょう、これ?
うーん、困った(笑)。
昔見た時は、もっと普通に笑えたんだけれど、ある程度映画を知ってしまうと、その異様さが際立つ。
ヴァイオレンスなまでの空虚。客席に真っ向から突き付ける。
怖いよ。
夏ばっぱの旦那さんvsミズタクの父。
由紀さおりさんも好い。
しかし、何故に植物図鑑(笑)。
戸川純をスクリーンで観れるぞ!
{94CA69F6-A409-45E1-8E9D-EE3C6E56B26E:01}
対して『間宮兄弟』は、終始一貫して至福。
どのシーンも、どのカットも、どの台詞も、編集から画面の隅々まで行き届いた小物・小ネタの数々まで!
映画館で改めて観直して、益々惚れた!
いや、これ後々邦画史に刻まれるんじゃなかろうか?
あっ、沢尻エリカが兎に角好い(断る!)って記憶あったんだけれど、今観直すと北川景子が頗る良い!あのチャラさ最高!
これは愛じゃないよ、友情だよ!
中島みゆきさんが抜群のキャスティングよねー!
広田レオナをスクリーンで観れるぞ!
兎に角カレーが食べたくなる。
そしてビールが呑みたくなる。
遂にはコーヒー牛乳まで!
間宮兄弟上映が塚口サン周辺に波及する経済効果は莫大である。
私、まんまとアングル寄りましたもん。
これ、蓋を開けてみれば、いかにも塚口サンが選びそうな作品やったなぁ。
この企画云々抜きに観に行った方が良いよ。
兄弟の部屋=劇場の密室感。からの開放感とか凄い!画に悶える。
女の子の風がすっーと場内に吹く瞬間とかある。
それと、蔵之介さん出てるからってのは関係なしに、そっか、内田けんじ監督作品に後味似てる。
あと、ルビー・スパークスとか上映したりとか、塚口サンのその辺りのライン。
ほら、皆好きでしょ?
   
森田監督も、優作も、もうこの世にいないのに、フィルムに焼き付けられたその煌めきは、20-30年処じゃ朽ちもせず、増している!
この胸熱は、決して熱帯夜の性なんかじゃない。
塚口サン、ありがとう。
実はこの“10人の映画監督と20本の不朽の名作”の中、箸休め的に楽しむかな?だったのに、これまた振り回された感あるある。な、森田芳光監督。
益々掴み処ないぞ!
何者ですか!?
面白い!のに、その面白さの肝が未だに解明出来ないブラックボックスな『家族ゲーム』。
そして、こんなにも愛おしさが程好く発酵してるとは思いもよらんかった『間宮兄弟』。
全身全霊でくったくったに満腹な二本立て!