異形の白昼 | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

筒井康隆さんが編んだ名ホラーアンソロジー。


異形の白昼 (集英社文庫)/著者不明




星新一さんや宇野鴻一郎さん、眉村卓さんや戸川昌子さん、更には遠藤周作さんや吉行淳之介さんまで。

驚く程の大物作家さんが13人集っている。


一言にホラーと言っても様々なスタイルが収められていて、グロテスクな描写があるものから、心理的なアプローチに迫ったもの、シュールなカルト作から、これはホラーか?と言った不可思議な印象を残すものまで。


1969年刊行だから、もう40年以上も前。しかし、流石の作家陣・編者、時代を越えてその恐怖は感染する。



さて、この書を当時(10数年前)中古屋を駆けずり捲くって探したのは他でも無く、ここに収められたある短編を読みたかったが為である。


その短編のタイトルは「くだんのはは」。


作者は小松左京先生。



物語の舞台は戦時中の昭和20年の芦屋。空襲で家を失った主人公の青年は、身を寄せさせて貰った邸宅に隠された“ある秘密”を知ってしまう・・・



この「くだんのはは」を知ったのは、映画にもなった怪談蒐集の著『新耳袋』で。


元々芦屋周辺に語り継がれていたそうな“くだん”に纏わるエピソードに囚われ、そこから辿り着いたのだ。


小松先生もその都市伝説をモティーフにこの物語を書いたそうだけれど、多分に自身の体験も反映されていたのだろう。余りの描写の生々しさに、本当にフィクションなのか!?と冷や汗がつたう。


ジワジワとリアルで説得力ある世界観を構築しておいての、後半の畳み掛ける様なカタルシス。そして戦慄すべきラストの・・・



僅か30ページ余りのこの短編。これはもう昭和の怪談の古典でありましょう。