デュオ&トリオ・インプロヴィゼイション | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

インプロゼーションの絶対零度へと辿り着いた究極の一枚。




デュオ&トリオ・インプロヴィゼイション(紙ジャケット仕様)/デレク・ベイリー






フリージャズのシーンで生涯を通し革新を続けたギタリストのデレク・ベイリー。彼が日本の伝説的なジャズ評論家である間章の召喚での来日時に、兵共と格闘した貴重な記録である。



参加したメンバーは阿部薫(サックス)・近藤等則(トランペット)・高木元輝(サックス)・吉沢元治(ベース)・土取利行(ドラム)と凄まじい面子!



フリージャズなんて言われると何だか難解で過激で実験的な非音楽を連想してしまう方も多いでしょうが、確かにそういう側面もあります。しかし、そう思ってしまう要因は今の音楽があまりに杓子定規だからだ。あらゆるフォーマットとマニュアルで雁字搦めのポップ・ミュージック。窮屈この上ない。そこから一歩踏み出せば吃驚する程の豊潤な音楽の世界が待っているというのに!



今作でもデレクは私達をそんな豊かな音楽の領域へと導いてくれている。無調のギターは様々な感情を越えた感覚を誘発し、そのシンプルな線は無限のイマジネーションを描き出す。そして今作に参加したメンバーはその意志に見事共鳴し、時に溶け込み合い・時に反発し・時に全く無視を決め込みつつ、楽器や楽曲なんて枠を超えた音のコミュニケーションで音楽の本質を暴くのである。



やはり阿部薫はここでも壮絶だ。この作品の録音の5ヶ月後に彼は亡くなっている。