少女毛虫 | Electronic Dolphin Eats Noise

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空論上の九龍城

夏休み、引越し、そして美少女。

この三つさえ揃えておけば物語は自然と回り出す。



SEEDS OF MOVIES 少女毛虫(CCCD)/ドラマ




『SEEDS OF MOVIES』・・・映画の種。


このCDは、あの岩井俊二監督が手掛けていたFM番組“円都通信”で放送された、募集した映画の脚本をプロのスタッフ・キャストでラジオドラマ化した作品を、パッケージ化したもの(ややこしや)。


全部で10枚リリース(それぞれ限定1万枚)され、その内2作が実際に後に映画化されている(『虹の女神』『BANDAGE』)。


全10作、出来不出来はあるものの、従来のラジオドラマとは一線を画す、映画未満のその世界観はスタッフ・キャスト共々随分楽しめてたんじゃないかな?




しかしこの『少女毛虫』は、そのラジオドラマ以上・映画未満な他の作品ともまた一線を画してて、台詞と音が生み出す未曾有の体感を誘う、奇妙な傑作となっている。




演出は秀英“熊澤尚人”監督。




ある田舎の村へ父の仕事(害虫駆除)の関係で引っ越して来た主人公の少女。


その村では、その夏“毛虫”が大量に発生していた。


一緒に引っ越して来た母は夢遊病が悪化してしまい入院。


頼りにしていた父も過労で倒れてしまう。


一人になった少女。


彼女の危うい精神は蠱惑的な村に呑み込まれて行き・・・




主人公の少女を演じる夏帆ちゃんと、母親(そしてその双子の妹)を演じる南果歩さんの“Wかほ”の幽かな存在感の邂逅が先ず絶品で、脇を固める光石研さんや水橋研二さんも流石の存在感。




時に台詞が聴き取れない程に、音(村に森、そして蟲の)への配慮がなされた音響設計は、殆どアンビエント・ミュージック、もしくはノイズ。




この節電の夏。どこぞの森にでも避暑へと逃げ込み、この音にズッポリ包み込まれてみたいものだ。