少年院で闇バイトに手を染めて捕まり収容された若者に取材した人がつぎのように言っていました。
「高額バイト 荷物受け取り 即20 月100も夢じゃない」
こんなSNSの書き込みやダイレクトメッセージに「20って20万ですか?やりたいです」と返信し、「じゃあお願いするから身分証明書の写真を送って」との誘いに、いとも簡単に個人情報を差し出してしまったのだそうです。
「荷物を受け取るだけで20万円もらえるって、バイト代が高すぎるなって思わなかったの?」
「そういうバイトもあるのかなって。お金に困っていたので欲しかったし。」
ということで、テレビなどであれだけ大騒ぎしているのに、なぜ闇バイトと称する犯罪に手を染める若者が後を絶たないかというのは、ここに原因があるというのです。
およそ常識ってものがない。
そしてその常識を培うのに必要なものが「言葉」です。
語彙力であり、文脈を読み取る力です。
いくつかの単語だけで信じてしまう背景には、言葉の裏を読む力が育っていないことがあります。
自分の経験があるアルバイトが時給1200円なのに、1日で20万円ってあり得ない。
なにかやばいことがあるのではないかという想像ができない。
結局子どもと同じで自分中心に半径数メートルで現在でしか生きていないので、そうなってしまうのです。
空間と時間を広げて自分を見ることができれば、たいていの悪いものには引っかかりません。
これは若者だけに限りません。
特殊詐欺に引っかかる高齢者も同じです。
バリバリの現役で働いていた頃には、そうした時間空間認識だったのに、リタイアして自分の家の周り中心の生活をしていると、視野が狭くなってくるのではないでしょうか。
基本的に申請主義の役所が還付金の未受け取りをわざわざ電話で知らせてくれるはずがない。
ましてや、明日が締切だから今日中ならATMで受け取れるなんておかしい。
未払いの料金を電子マネーのカードで番号を伝えて払うのもあり得ない。
という考えに至らなくて支払ってしまうのです。
私立小学校の入学試験で指示行動をさせる課題があるのは、人の話を聞いて理解し行動できるかを見ているからです。
そうした子どもを集めれば授業が滞りなく進み、学業がはかどることでしょう。
将来悪い人にだまされないためにも、子どもに基本的な国語力を身につけてやるのが、私達おとなの役割です。(羊)