とあるホームに97歳のおじいさんが入居している

温厚でいつも笑顔がたえないおじいさんだが、かなり痴呆は進んでいる

同じホームに94歳のおばあさんが入居している

愛嬌のあるかわいいおばあさんだが、かなり痴呆は進行している

2人は金婚式もはるか昔に迎えてしまった夫婦だ

まわりが羨むほどとても仲のいい夫婦だった

と息子は言う

ただ、今の二人の関係はかなり微妙だ

同じ部屋に住み、楽しく談笑しているのだが

不思議なことにお互いがお互いを配偶者だと認知していない

ある日おじいさんが急に亡くなった

おばあさんがショックを受けてしまうのではないかと皆は心配したのだが

しかし何事もなかったように、おばあさんはいつものように他の人と談笑している

内心ほっとしたが、これで良かったのか悪かったのか

お互いがお互いを忘れることが

お互いを悲しませないための

お互いの思いやりなのかもしれないと・・・・

少なくともそう思いたいと、

息子は僕に同意を求めるようにしみじみと話した