現代の医学が万能であるとは誰も思っていないだろうが、治せない病気のほうが圧倒的に多いと聞けば少しはたじろぐかもしれない。

白衣をはおり、偉そうに、最先端病院を闊歩する大先生たちの勇姿に接すれば、いかにも頼もしく、この世に治せない病気など、あろうはずがないと思わせるに違いない。

しかし、現代医学には不得意科目がたくさんあるのだ。

不得意なものは不得意と正直に断ってくれればまだいいが、不得意を得意そうに振舞うからいっそうたちが悪い。

偉い大先生方たちはプライドが白衣を着ているような連中だから、口が裂けても不得意とは言えないのだろう。

ちなみに不得意科目をあげると、がんをはじめとする慢性疾患、たとえば、高血圧、糖尿病、高脂血症、腰痛、肩こり、アレルギー疾患、リウマチ、うつ、そして風邪ももちろん、すべてを挙げることさえ難しい。ちなみに風邪で医者にかかるというのは蕎麦屋でパスタを注文するようなものだ。

では、得意科目はと言うと、それが意外に少ないのだ。救急疾患(心筋梗塞、くも膜下出血・・・)と外傷と臓器移植と、そして病気ではないが診断技術くらいであろうか。ひところ感染症も得意科目であったのだが、今はすこぶるあやしい。結核を的確に診断できる医者もごくごく稀になっている。

という状況を踏まえながらも、偉そうに闊歩できる大先生方の勇気には頭が下がる。僕なら、白衣に袖を通す勇気すらないものを。