備長炭は最近の炭ブームもあってか、ずいぶん各商品で耳にするようになりました。
備長炭入り○○○とかですね。
しかし、炭であれば「備長炭」という名称をつけても問題はないのでしょうか。
日本国内の炭業界の自主規格しかありません。
備長炭入とうたっている製品の製造メーカーさんも炭の品質までほとんど判ってないと思います。
平成9年に廃止された木炭の日本農林規格の中の「白炭の規格」には、「『特選』に該当し、かつ、その硬度が15度をこえるものについては、等級の欄中『特選』とあるのは『備長特選』と読み替えることができる」とあります。「特選」の条件は硬度が15度以上が「備長炭」ということになっていました。ナラ、クヌギの黒炭の標準硬度が7度ですからかなり硬い炭といえます。
現在有効な規格としては、社団法人全国燃料協会、日本木炭新用途協議会、全国木炭協会が定めた「木炭の基準」があります。これは各会の会員が製造・販売する燃料用木炭の自主規格となっており、備長炭については、「白炭のうちカシ、ウバメガシを炭化したもので、精錬度が0~3の木炭」と定義されています。
精錬度とは、精錬計という機械を使って測定した値のことで木炭に電流を通 して、その電気抵抗の度合いで決まります。炭素は電気を通しますから、炭化の度合いが高い(炭素の純度が高い)と電気抵抗は低くなるため、精錬度の値が低いほど良質な木炭ということになります。
紀州備長炭の技術が伝わったのは、日本国内だけではありません。中国産のウバメガシ、カシを原木にした白炭は、通称「中国備長炭」と呼ばれています。日本産よりも価格が安いため、飲食店などの業務用として主に使われています。また、インドネシアなどの東南アジアで、マングローブを炭材とした堅い炭は、俗に「南洋備長炭」と呼ばれています。名前は「備長」ですが、叩いても白炭のような金属音はしません。また、マングローブ炭は塩分が含まれているため、鉄びんに使うと底が錆びるなどの事例も報告されています。
このように、現在は「備長炭」の名称を使用する事に関しては業界の自主規格しかなく、粗悪な木炭に「備長炭」という名称をつけて販売しても法律がないため罰則規定はありません。