佐藤こうじくん(以下シュガー)主催の「裏方の会」に参加してきました。

これは現在バリバリあちらこちらで活躍中の舞台音響家であり、

Sugar Sound代表であるシュガーが開いている音響に関する勉強会です。

音響じゃないテーマのときもあるのかな?とにかく彼が数年にわたって開催しているもののようですが、

今回初めて参加してきました。

 

1日3コマあってそれぞれテーマは以下の通り。

 

①バウンダリーマイクの超自然な拾い方

②プランナーオペレーターに必要なスキルとは

③音の定位を揃えるとは

 

それぞれ2時間、1コマ参加で1000円、通しで2000円。

ぼくは通しで参加。それにしても破格の安さです。

というのも、ぼくは俳優なので、普段の現場でも俳優とスタッフという立場でコミュニケーションは取りますが、

勿論公演のときは芝居に集中するので、スタッフさんの深い話を聴く機会もそうそうないわけです(当然時間もない)。

いったい(今回の場合は音響さん)彼らがどういった感覚やシステム、技術でもって一緒に舞台をつくっているのか、

純粋に興味があって、拙いながらもいろいろ質問してきました。

 

結果から言うと、参加して大正解。

いやむしろ俳優諸氏は一度でもいいからこの場に参加してみてほしいと思う。

 

そりゃシュガーの言ってること、全部はわかりませんでしたよ。もちろん。

でも「わからない」ということを認識することが大事です。

ミリセックがそもそもなんなのかわかっていないのと、

それは「単位」だということだけでも知っているのと、違うじゃないですか。

どういうときに使うのかとかどういう基準なのかは置いといても。

で、それには、生で話を聞いたり質問したり、が一番早い。

シュガーの提唱する「生産性の高い会話」というやつですね。

 

これは俳優も一緒。コミュニケーションがすべての始まりですし、

おもしろい作品を作るためにはまず人と人との関わりが根底に必ずあるわけですから、

ああ、ぼくも人間だし、相手も人間だな、って感じることってめちゃくちゃ大事で、

総じて面白かったんですよね、シュガーの話が。

シアターコクーンでの体験談とか印象に残ってるなあ。

人に伝えることや、人に学ぶこと、はどの分野でも基本は同じなんだなと。

そしてカテゴリーで区切るのもあまりよくないよと思います。

おれ俳優だから、音響のことはなにも知らなくていーやとか言ってる人はバカでしょ。

なぜって舞台は総合芸術なのだから。

知らなくたってやれることもあるだろうけど、知ってたほうが豊かになるのは間違いない。

 

ぼくにとっては去年演出や音響を経験したのもデカい気がする。

照明打ち合わせにいたっては、自分がなに言ってんだか自分でもわかんなかったもんなあ。

 

ぼくはいわゆる学校や養成所で演劇を学んだ経験がない。

だから極端に知識が不足しているのかもしれませんが、

だったらいま近くにいたり一緒に仕事しているプロフェッショナルたちから学べばいいじゃんって。

野球でいうと例えば俳優はピッチャーですよ。

だからピッチャーに必要な練習をします。走りこみや投げ込みやフォーム作りやら。

でも球を受けてリードしてくれるキャッチャーのことや、後ろで守ってくれてる内野外野の仕事や技術について知ることもピッチャーには必要だろってことです。もちろん誰が守ってくれてるのかってことも。

この勉強会は、知識以上にそういうことを実感する場だとも言えるかもしれません。

また、ここにはシュガー以外にも第一線で活躍している舞台音響家が6、7人くらいいらっしゃって、

その方たちの話を聴けたのも貴重な時間でした。

なんか若い音響家やこれから音響家を目指す人ばかりの中で、いろいろ不躾な質問をぶつけてしまって申し訳有りません&ありがとうございました。

 

シュガーこと佐藤こうじくんの器の広さ、精神の柔らかさ、強さ、あるいは優しさ、をとても感じる時間でした。

広い視野を持っていなければこんな企画は打てないですよ。

自分の損得ばかり考えてる人なんかには絶対できない。

彼とはダルカラの福島三部作から一緒にやってますが、ほんとに出会えてよかったなあと思う舞台音響家です。

 

いいかい、これを読んでる俳優のご同輩たちよ、

貴方がプロフェッショナルであろうという志があって、

そのとき時間があるなら「裏方の会」に参加することを推奨します。

シュガー曰く年数回のペースで、忙しい合間にまた開催する予定だそうです。

「裏方の会」のTwitterアカウントもありますからチェックしてみてください。