シャンゼリゼでの恒例の点灯式が行われ、街がクリスマスのイリュミネーションで飾られようとしているこの時期、フランス全土が蛍光色をまとった市民らによって掻き回されている。
10月下旬、ガソリン値上げに反発した労働者らが「黄色い法被(Gilets jaunes )」をまとって各地で道路を封鎖。強行突破を図った車による事故で死者もすでに出ている。
おおくのフランス人にとって車は不可欠の商売道具。燃料値上げは生活苦に直結する。
こんかいの運動は、政党や労働組合の後ろ盾なしに主としてSMSをつうじて参加者を動員する自然発生的な民衆運動である点が新しく、各地での予測不可能で突発的な運動の出没に政府も手を焼いている。
調査によれば75%の国民が運動を評価しているといい、いまや当初の燃料価格上昇という名目を超えて、市民の購買力の低下を政府に問いただす大規模な運動に発展している。
政府は話し合いに応じられる責任者の不在を理由にガソリン値上げ撤回の主張には耳を貸さない構えでいるが、いくつかの社会政策(エコカー乗り換え時の補助金など)を融和策として打ち出して運動の拡大を抑えようとしている。
政府が本腰を入れる環境政策が今回の運動の引き鉄になったことは皮肉であるが、消費者にではなく大気汚染を助長する産業にこそ課税せよとの一部の論者らの主張は的を得ている。
おもえば数ヶ月前、スター大臣のニコラ・ユーロが環境と経済の両立不可能性を示唆して辞職したことは運動の前兆であったかもしれない。
こんかいの運動を政治的な思惑に利用しようとする動きはとうぜんあって、非政治性を旗印とする運動がとくていのイデオロギーに取り込まれる可能性はすくなくない。すでに強面の極左指導者ジャン=リュック・メランションが連帯を表明しているほか、極右政党によって利用されることを懸念するメディアもある。
いまや運動に反対する勢力がおなじくSMSを活用して大規模な反対デモを打ったりしており、年末に向けてさらなる混乱が予想される。
いつものことながらどさくさにまぎれて破壊行為に及ぶ一部の参加者が市民の安全を脅かすと同時に運動の純粋性を内部から危機にさらしている。11月24日にはデモが禁止されているシャンゼリゼ大通りにバリケードが築かれ、横倒しになった車が炎上し、催涙弾の砲煙のなかを八千人の参加者らが機動隊に追い散らされるという事態にいたっている。(25日追記)
で結局、増税撤回。ポピュリストの馬脚をあらわした棚ボタ大統領。(12/6追記)