Archi-story 桂離宮004「月の宮殿」 | Dynablog!

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読んでふわっとあったかくなってね~♪

パーヨッ

元気か?オラ悟空。

 

ごぶさたしております♪ 今週末、みなさまのブログもまわらせてもらいまーす~♪

 

で、気付きました?記事部分、大きくなったんですお!

桂離宮を紹介するのに、やっぱり大きな画像が入らないと、ね!

 

あと、桂離宮の使用できるデータがないもんですから、コツコツデータ作りしてました♪

ぐぐるまっぷとか、図面や写真のトレースにスケッチ。かなりオタクな作業・・・(-゛-)チカレタ

でも、迫力あるご紹介ができると思いますよ!!(参考図書は最後に載せてます)

 

それでは、いよいよ桂離宮、本章、お楽しみに~♪

 

Archi-story 桂離宮

004 月の宮殿

 

建築物の一番の肝は「何のために建てられたのか」

その目的を知った時、建築の本当の価値は輝きだします♪

 

桂離宮には、いくつも建築物があり、腰掛があり、庭園があります。

しかし、その全ては、ただ一つの大目的のための枝葉であり、飾りです。

そして、桂離宮の幹は、「古書院」(こしょいん)にあります。

 

 

1.永遠の象徴「月」

トシヒトがこの桂の地を選び、一番初めに建てたのが古書院。

彼の最大のテーマ、そして「桂」を選んだ理由とは、「月」お月様星空でした。

 

今でこそ、月は夜空の1パーツに過ぎないですが、

当時、月は、闇夜にこの世を照らす最大の「光」であり、神聖な存在でした。

 

また、日々刻々とその姿と位置を変えていく月に、人々は心情を込め、歌に詠みました。

さらに止まることなく満ち欠きを繰り返す月は、永遠の象徴ともされました。

 

 

そして桂は、古来より「月の名所」とされ、藤原の道長も桂に別荘を構え、

源氏物語の桂の別所でも、桂で最も詠まれたテーマこそ、「月」。

 

桂にたどり着いたトシヒトが目指した建築とは、

桂離宮の全てを貫くテーマ「月」を最大に美しく鑑賞するための建築、

すなわち『最高の観月の舞台装置』だったのです。

 

 

2.世界最高の月見舞台

 

それでは、いよいよトシヒトが作った月の舞台、見てみましょう♪

 

 

古書院には、庭園に向かって大きく迫り出した「月見台」があります。

 

上品なむくり屋根にシンプルな月見台。・・・ま、風情はあるけど、そんなにすごいの?

 

ふっふっふ。すごいんですよ♪

トシヒトが目指していた王朝文化の別荘といえば、寝殿造りです。

が、それにしては、明らかにおかしい。

それは、やけに「軒の出が短すぎる」こと、そして公家が使うにも関わらず、

月見台に「手すりすらついていない」、ということです。

 

軒の出が短ければ、風雨が建物に吹き込み、傷みやすくなる。

公家が使う月見台なら、安全面からもデザインからも、瀟洒な欄干をつけるべきだ。

しかし、「月」が全ての謎を解き明かします。

 

こうです。

 

 

 

そうです。

軒の出を短くしたのは、月を観る時に、庇が視界の邪魔をしないため

 

ではなぜ足元につける手すりをつけなかったか

 

月は直接観るだけではありません。

当時、水面に映し出される月は、本物よりも情緒がある、とされるほど、

水面の月は重要です。

 

はい、おそらく池に浮かぶ月を全て楽しめるように配慮したんだと思います。

 

トシヒトは、メンテよりも、豪奢な飾りよりも、

神聖なる「月」がいかに美しく見えるか、その一点で建築をデザインしたんだと思います♪

 

3.すべては月のために

 

それでは、古書院内部から、どう見えたんでしょうか・・・?

こんな感じですよ~♪

 

 

昼間のうちは、開け放った障子越しに見える、切り取られた庭園が

それはそれは美しく見えたんだと思います。

 

しかし、本番は夜。

月が出たら、いよいよ月見台に出てみましょう♪

 

 

庇は見えず、手すりもなく、東南を見上げれば、美しい満月―お月様

 

庭園の緑も遠くに見える山の稜線も、すべては「月」を飾る背景に変わります。

そして、池を見下げれば、水面に優しく揺れる「第二の月」が輝きを放ちます。

 

中秋の名月、ここに立った人はどれほどの美しさに身を震わせたんでしょうか。

そこには、世界を邪魔する装飾は何もなく、

ただただ、月と自分だけが、世界に存在していました。

 

トシヒトは、中秋の名月に歌を詠んでいます。

 

月をこそ 親しみあかぬ 思ふこと 言はむばかりの 友と向ひて

(親しく、飽きることのない月と、思うことを言いあえる友のように向かい合っています)

 

月見台に一人立ち、月と静かに対話するトシヒトの姿が浮かんできます。

 

桂離宮とは、荘厳なる月と対話する建築だったんです。

 


 

次回以降は、この「月の建築」の細部にまで手が込められた技術を

紹介していきますね~♪

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪まったねーパー

 

Takio

 

※このシリーズの執筆に参考にさせていただいた書籍です。

『Katsura A Princely Retreat』text : Akira Naito photo : Takeshi Nishikawa

『桂離宮 隠された三つの謎』宮元健次著

『桂離宮 ブルーノ・タウトは証言する』宮元健次著

『桂離宮と日光東照宮』宮元健次著

『IWANAMI GRAPHICS 1 桂離宮』石元泰博/林家辰三郎 著

『新約 源氏物語』尾崎左永子著