私:40代前半/離職中
娘:小6/小1から不登校/AS診断あり

人生が変わる本に出会えたかもしれない。
人生、というのは大げさかな。
生活が変わる本、というのかな。
でも、毎日の生活の積み重ねが人生だとしたら、やっぱり人生が変わる本かもしれない。
土井先生のシンプルな言葉がとても力強くて、感動した。
料理している人と、料理できていない人への優しい言葉に涙が出た。
メモしておきたいフレーズがありすぎて、メモしきれない。
人生が変わるかも、と思ったのは、私の軸になるものを見つけたから。
「暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる生活のリズムを作ることだと思います。その柱となるのが食事です。一日、一日、必ず自分がコントロールしているところへ帰ってくることです。
それには一汁一菜です。」(P.15-16)
「生活」と「暮らし」の定義は、40年以上生きてきて、初めてはっきり認識した。
「人間の『生活』とは、生きるための活動ですから、そこには外での仕事も含まれます。家の中の務めは、『暮らし』のことです。」(P.37)
外で起きること・起きていることに、私一人の力は及ばないけど、私や家族の体を大事に思ってする料理は、毎日私がコントロールできる。
一汁一菜で十分な食事と知って、それなら私にもできるし、料理の負担がなくなった。
料理することが心地よくなった。
「幸せは、家の中、暮らしの中にあるものと思います。」(P.37)
なんか、なんだろう。
今までは、外に意識が向いていた。
幸せは、内にあるんだ。
土井先生の言葉から、「料理する」という行動が、「幸せ」な行動なんだと思えた。
「気持ちを入れ替える」とか、
「幸せは自分が決める」とか、
気持ち先行のフレーズは、体現するのか難しくて、どうやって実践するのか分からなかった。
料理する=幸せ
という、行動が気持ちに直結するのは、私に合ってる。
これからは、料理することが私の軸だ。
私は、いつから料理することが、負担・苦痛になったんだろう。
娘が生まれて、ちゃんとした食事を出してあげたい、と思うようになってからかな。
仕事が忙しくて、気力も体力も使い果たした中で、時間に追われて料理するのは辛かった。
料理しないことが多かった。
スーパーで買ってきたお惣菜やお弁当を食べたり、外食が多かった。
仕事で忙しい時にこの本に出会えたらよかったな。
今は、時間に追われず料理ができることが、心地よい。
スーパーで、旬の野菜や果物が山積みになっていたり、旬のお魚がたくさん並んでいたりするのを見るのが、楽しみになった。
それを買って、お味噌汁と、おかずを一品作るのは、とてもラクで、豊かな気持ちになれる。
新鮮な野菜を切るときにする匂いが、癒しだ。
忙しい時は、野菜についた泥を洗い流すのが、めんどくさく感じていたけど、今は、土がついている野菜を買えることがうれしい。
土の匂いがいい。
たくさんの方にこの本が届けばいいな、とお祈り。
特に、お料理が大変という方に。
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こないだ読んだ『一汁一菜でよいと至るまで』は、土井先生の経歴のすごさが、私にはよく分からないほどで、ちょっと読みにくいところがあった。
『一汁一菜でよいという提案』は、平たい言葉で書かれていて、ところどころ目頭が熱くなりながら、あっという間に読んでしまった。
どちらか一冊だけ読むなら、『一汁一菜でよいという提案』の方がおすすめ。
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参考文献
『一汁一菜でよいという提案』土井善晴著、新潮文庫