私が20代の頃知り合った女性です。
新卒で入った仕事を辞め結婚し、アルバイト的に働いた銀座の画廊です、
その時その人は40代手前で
その年齢とは思えない美しい人でした。
その人は20代からずっと同じ人の愛人で
(愛人と不倫相手の違いがいまいち分かって無いのですが…画廊のオーナーが愛人って言ってたから愛人と思ってます^ ^)
出会った時はもう20年近く愛人生活をしているとのことでした。
愛人と言うだけあって、囲ってもらっていたのか?詳細を踏み込んで聞けず、どんな生活なのかも不明ですが、その人が20代の頃その画廊で、働いていたそう。たまたまオープニングパーティーの時に遊びに来た事で知り合いました。
その職場は古い考え方が根付いていて、採用の基準も独身女性限定だったそうですが、私が初めて既婚で採用されました。
オーナーは私をえらく気に入ってくれ、既婚の子の方がギラギラしてなくて良いわ❣️ってその後は既婚者が入るようになりました。
そもそも既婚未婚で分ける自体、おや?ですが、なんせ老舗の画廊…年期の入ったルールがたくさんありました
初めてその人に紹介された時も
愛ちゃん(愛人なので)この子カーニちゃん。かわいいでしょう💕この子ね、結婚してるのよ。
ここの画廊始まってから初の既婚者よ。
とまぁ、いつの時代か?って(平成中期)ツッコミ入れたいところでしたが、そんな紹介をされました
その時愛ちゃんの顔が一瞬曇ったのは覚えています。鋭い目で一瞬こっちを見て、すぐに戻りました。
綺麗な人ですね!
愛ちゃんさんはいつごろここで働いていたのですか?
とオーナーに言ったら、その愛人の経緯や、電話がかかってくると会いに行ってた事やらを聞かされたのです。
愛ちゃんあんな風に綺麗な子じゃない?20代で付き合った男が既婚者で、お金持ってて色々知ってて優しい人でころっと引っかかってしまったのよ。
もうそうなると同年代はガキくさくて付き合えないみたいで。それからずっとおんなじ人の愛人。
そんな話をしてました。
その画廊では、色々な人に出会うのですが、良くそこに顔を出す、胡散臭いバイヤーのおじさんと話していた時の事。(実際あやしい人がたくさん出入りするのです。場所柄^ ^このおじさんはチャラいけどそこまで変なことしないとオーナーが言ってました)
愛ちゃんと会ったの?俺も久しぶりに会いたかったなー。
とても綺麗な方でした
そうだねー。でもさ僕はカーニちゃんがここにいてくれるとすごく安心するんだよね。
愛ちゃん綺麗なんだけどさ。
カーニちゃんみたいに一緒にいてあったかい気持ちになれないんだよね。カーニちゃんはハッピーなんだよ。愛ちゃんは心に木枯らし吹いててさ。
心に木枯らしですか…
そう、なんかね話してると、ヒューって寂しくなるようなそんな気持ちになるんだよね。
分かるわ。愛ちゃんいつも寂しいもの。
心に木枯らしか…。
まだ結婚したばかりでなにも分かってない私には愛人という立場も、不倫という事の意味もちゃんと分かってなく、遠い世界の話のように感じていたので、なんとなくそんなもんなのか〜って聞いてました。
それから私は数年でそこを辞め今のところで働き始め、10年後ある人のオープニングパーティーで再び愛ちゃんと会いました。
愛ちゃんはその時50代。
オーナーさん曰く、今も愛人続けてはいるけど、愛人がそろそろ介護が必要になるらしく、どうするのかしらと、愛ちゃんの今後を心配してました。
50歳か〜
50歳になるまでも愛人かぁ。
結婚もせず、家庭も持たず、子どもも産まず愛人かぁ。
すごい人生だなぁ。とその当時生まれたばかりの下の子を抱えながら私はぼんやりとその時間の長さを感じました。
愛ちゃんが選んだその道。愛ちゃんが幸せならそれでいいけど、50代の愛ちゃんは相変わらず綺麗ではあったけど、私が見ても分かるくらい顔全体に寂しさが溢れていました。
私は会った事もない愛ちゃんの愛人になんだかムカつきました。飼い殺し?奥さんは?愛ちゃんの人生は?
それからはもう会ってません。
愛ちゃんは今どうしてるのか知らないけど、たまに木枯らしが吹く頃に、心に木枯らし吹いててさと言ってたおじさんと愛ちゃんを思い出します。
幸せな愛人なんていないんじゃないかなぁ。
今日下の子がメレンゲを作りたいって言うので一緒に作りました
なかなか美味しくできました^ ^