どこか冷めた自分が内側に存在しながら、私は後輩くんに恋をしていた。


誰にも悟られない恋心

始まらずに終った恋です。


終わらせた後しばらく私は

何か自分の中で消えた穴を

ポッカリ空になった空間を、

どう埋めていけば良いのか戸惑いました。


しばらく…なにに対しても気力が湧かず、

後悔などは一切ないのに

キラキラした楽しい時間はもう戻って来ないと、噛み締めるように味わいました…。


彼に恋して、私が求めていたもの…

今思えば、その瞬間のキラキラと

自尊心だったのではないかなと思います。


キラキラはどうしようもない。

夫はもう夫なので。

お互い気持ちを確かめ合って

社会的にも認められた関係なので

そこには確固とした関係は存在するけど

儚い一瞬のキラキラはないのです…


もうこればかりは。



そして自尊心…

これもまた、夫から得られるそれとは違いました。

彼は頭の先から足の先まで、舐めるように私をみて、そして私が切なくなるような顔をして、綺麗だといつも言ってくれた。

夫ももちろん言ってくれるには言ってくれる…

けれど違うのです。


その昔夫と付き合いはじめた頃も

夫は彼のように私をみてそしてそんな切ない顔をしていたな。

大好きですけど、今はお互いそんな風には見ないから…。



それが本物でも偽物でも良い。あの瞬間、キラキラしたその気持ちが蘇って引き合うその刹那がただ愛おしかったのだと思います。



私が求めていたものは

彼によって揺さぶられる感情の波と

そうやって求められるあの状況

だったのではないかなと思います。


彼は私を好きとか大好きとか、ずっと一緒にいたいとか、一緒にいると安らぐとか、そんな事をよく言ってましたが、どんな大好きかを確認した事はありません。

綺麗だと、素敵だと、本当にかわいいと言っていたけれど、どんな気持ちでその言葉を発していたか分かりません。

彼は15歳も歳下でしたし、最近の若者はそう言う事を言う文化なのかもしれないから、かれの言葉の多くは流してきました。

今でも、彼が私に恋心を抱いていたかも不確定です。


ただ、彼を全て拒否した後、彼はの行動から推察するに、やっぱり私を好きだったのかなー?と少しだけ思います。



その上で私が求めていたのは、

彼の気持ちではなく、あの瞬間だったのかな…と。

何も形には残らないもの。その瞬間のキラキラと誰かに切なく求められるあの刹那だったのかな。