ジャンゴ 繋がれざる者
1960年代後半に、カラーTV普及の影響から斜陽産業に陥った映画界で、
低予算と早撮りが可能な作品として、日本では任侠映画”、
イタリアではマカロニ・ウェスタンが生み出されましたが、
ベトナム戦争が泥沼化していた当時の暗い世相を反映させた主人公が、
クライマックスで理不尽な者に対する暴力に怒りを爆発させて、
暴力によって復讐を遂げると言う、勧善懲悪の分かりやすいストーリーが受けて、
若者たちに絶大な人気を博します。
グラインドハウスで上映されていたB級映画に造詣が深いクエンティン・タラティーノも、
“やくざ映画”や“マカロニ・ウェスタン”を夢中で観ていた映画青年のひとりで、
『キル・ビル』『デス・プルーフ in グラインドハウス』に続いて、
マカロニ・ウェスタンの代表的主人公ジャンゴをリスペクトした本作の映画化を
思いついたのも、必然だったと言えるでしょう。
ランティーノの復讐劇は、前作『イングロリアス・バスターズ』でナチスを
敵役にして政治色を加味しましたが、本作も、1865年まで合法化されていた
奴隷制度をクローズアップした内容になっていて、主人公のジャンゴを黒人に設定して、
黒人奴隷に対して横暴の限りを尽くすミシシッピーの農園領主との対決が、
見せ場になっています。
バイオレンス映画の雄タラティーノが、残酷場面が際立っていたマカロニ・ウェスタンを
料理するので、肉化される人間たちの阿鼻叫喚を覚悟して観賞したのですが、
ジャンゴが、農園領主に買い取られた妻を奪還するためのラブストーリーがメインに
なっているので、殺戮場面は薄味に抑えられていました。
それが功を奏して、アクションシーンから陰湿さが排除されたことで生じたカタルシスが
半端ではなく、マックィーンやブロンソンなどの人間臭いアクションスターが活躍していた頃の
映画が蘇ってきて、久しぶりに活劇の面白さを堪能しました。
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