球春到来。長ーいオフに飽き飽きしていた野球ファンもやっと野球が見られる時期に近づいてきました。
が、オランダはそうもいきません。寒いですからね。時には運河が凍ってしまうこともあるようです。スピードスケート強いですよね、オランダ。子供の頃からスケートできる環境が周りにあるからです。
話を戻します。そういう環境にあるオランダの開幕は4月中旬。今年のホーフトクラッセの開幕は4月17日です。時には濃霧で試合が中止になってしまうこともあります。そういった土地ですので、2月なんか極寒。今はまだ室内練習にとどまっています。生まれてこの方、その環境の中で生きてきた彼らは慣れ切っているでしょうが、野球には不適。ホーフトクラッセを拡大していくにはドーム球場が不可欠というのも納得です。
さて、今回はオランダ球界のストーブリーグについて語っていきたいと思います。
1.オランダのエース、リック・ファンデンハルクがNPB、ホークスへ。
オランダのエースがホークスにやって来ました。現段階の実力を鑑みますと、キュラソーを含めオランダナンバーワン投手と言っても過言ではありません。
ストレートは常時150キロ超え。変化球はスライダー、ナックルカーブ、チェンジアップ。どの球種でもストライクが取れ、キレも抜群。特にナックルカーブは打者が仰け反るほど。チェンジアップはそれほど遅い球ではなく、ストレートと同じ軌道で落ちていきます。だがしかし、1番の武器はストレート。本人も自信を持っているようで、三振をとるのもほとんどストレートです。
日本ではなかなか見ることの出来ない本格派オランダ人右腕。阪神のエース、メッセンジャーの様な活躍も期待できるかもしれません。
そんな彼は世界的企業フィリップスを生み出したアイントホーフェン出身。幼少時代はサッカークラブで有名なPSVにてプレーしていました。
オランダ野球トップリーグのクラブはアムステルダムやロッテルダム近郊の都市圏に集中しがちなのですが、こうした地方都市出身の選手も多い。元楽天のファンミルも、ファンデンハルクと同じ北ブラバント出身。オランダでは都市圏だけでなく、地方にも満遍なく野球クラブが存在し、どこに住んでいても野球をプレーすることができるのが、他の欧州とは違って野球文化がより浸透している証です。こうした点を鑑みると、野球がメジャースポーツになる素地は十二分にあると思うんです。
話を戻します。16歳でメジャーリーグのフロリダマーリンズと契約。2007年にはメジャーデビューをはたします。しかし、三振を取るだけの球威はあるものの、一発病と制球難に悩み、メジャーには定着できずにいました。
転機が訪れたのは2012年、移籍していたパイレーツAAAでのこと。投手コーチとともにオーバースローからスリークウォーター気味にフォームを修正。ストレートの球速が伸びるとともに、決め球のスライダーの曲がりが格段に大きくなりました。この年はAAAで13勝を挙げ、リーグMVP。韓国サムスンへ移籍する足掛かりとなります。
サムスン1年目は右肘の故障に悩まされ7勝に終わりますが、韓国シリーズで大活躍。そして、2年目には元横浜などの門倉投手コーチとももに取り組んできたフォーム改造が実を結び、先発の柱として連覇に貢献。個人成績でも最優秀防御率と奪三振王を獲得しました。かねてから、オーバースローの上から投げ下ろすスタイルに未練が残っていた様で、異国でもしっかりと指導者とコミュニケーションを取りながら、フォームに拘った結果でしょう。このような彼の探究心も日本でもいい方向に働くのではないでしょうか。
来日してホークスに合流してからも、日本語で自己紹介をしたり、ファンのサインにも気軽に応じるなど、異文化への適用性も見せています。こうした人間性の魅力にも注目です。また、西武のスコアラーが早くも警戒心を露わにしたり、ホークスのレジェンド斉藤和巳が彼の膝、踵の使い方を絶賛したりと、プレーの面でもいい話が多く入って来ています。これから実戦を通して、先発ローテを勝ちとって、シーズンで活躍する姿を楽しみにしましょう。
因みに、明日の紅白戦で1イニング投げる予定です。侍ジャパンとの国際試合で欧州代表にも内定してます。エースとしてジャパンを手玉にとるのが待ち遠しい。
2.ADOレイカーズ経営破綻でホーフトクラッセから脱退
昨年7位に終わり、今季の巻き返しを狙っていたADOが経営破綻。ホーフトクラッセへの不参加を決定しました。近年、成績不振が続いていたADO。スポンサーを募るのも難しいものがあったようです。
戦力的にもキュラソー、アルバなどのアンティルから選手を補強していましたが、Aクラスには全く歯が立たず。一昨年の入れ替え戦でもギリギリの3勝2敗。チーム状況としても首の皮一枚で繋がっていました。
しかし、デンハーグというオランダの行政の中心で人も集まる都市から、ホーフトクラッセのクラブが無くなってしまうというのは多少心配されます。人がいる分ユース世代のクラブも充実している訳ですから。伝統あるチームですので、ユース世代は継続して運営していただいて、いずれトップクラブも再建していただきたい。
さて、このチームの代替として参加することになったのがマンパエイ・ザ・ホークス。昨年はホーフトクラッセ昇格2年目でした。1年目こそ健闘しましたが、昨年は一年間先発投手が安定せず、最下位。入れ替え戦でも激闘の末2勝3敗で2部(当時)のDSSに敗れてしまいました。
しかし、4番をはっていたファンドンセラールなど面白い選手は多い。リーグ王者ネプチューンズの若手が移籍して来て、試合経験を積んだりもしました。今季はベルギーからルッツ監督を招聘。既にADOから数名の選手が移籍を決めてます。昨年の大きな穴だった先発に、エース候補のローデンブルフも加わりました。ネプチューンズでローテを一年間守ったことのある投手です。巡ってきたチャンスを逃すわけにはいけません。注目です。