昨年の年末から今年のお正月あたりにかけて、オランダの有望な若手三人衆が海を渡りました。彼らの名はヨーリン・ファンアムステル(HCAW)シェーン・ブーレー(パイオニアーズ)イェレ・クロフト(キンハイム)です。彼らが海を渡った理由は、アメリカのマイアミで開催された、インターナショナル・パワーショーケースに参加するため。このイベントは世界各国の将来有望な若手選手たちが集結し、ホームラン競争を行い、ホームランの量・数を競うものです。また、アメリカチームとワールドチームに分かれての試合も行われました。これまでのオランダ人の前例としては、ショーン・サラガが第一回大会に参加し優勝、そこでスカウトの目にとまりブリュワーズと契約。昨年はルアール・フェルケルクが参加し3本塁打、彼もツインズとの契約を勝ち取りました。
今回、彼らが出場するに至るきっかけは何かというと。HCAWの監督である、イヴァン・ロドリゲスが三人を推薦したことです。ファンアムステルは彼のチームの選手でありますので言うまでもありませんが、ブーレーには、ロドリゲスが今シーズンのHCAW対パイオニアーズのある試合前のウォーミングアップ中に声をかけたそうです。ロドリゲスは昨年行われたU18ユーロでコーチを勤めていましたので、彼らの能力は十分承知しています。ブーレーは大会で首位打者でありましたし、ファンアムステルは三位決定戦で満塁弾、クロフトもホームランを放っています。
さて、彼らの結果はどうだったでしょう。ホームラン競争のルールはこうです。一人に20球ずつあり、5球は木製バット、15球は金属バットを使います。一番記録が良かったのはファンアムステルでした。2本柵越弾を放ち、最高飛距離は125mでした。動画を見る限りでは、全体的にいい打球を飛ばしていました。
残りの二人、ブーレーとクロフトはともにホームラン0本。キュラソー(オランダ王国構成国)から来た、クインスリー・バレンティンも0本でした。しかし、ブーレーとバレンティンにはデトロイトとブレーブスのスカウトが興味を示したようです。内容が良かったのでしょう。
次の日のワールド対アメリカの試合には、ファンアムステルが三塁手、バレンティンが二塁手として出場しました。キュラソーのムースケルも先発投手として登場。3イニングを7奪三振の快投を披露しました。2回には後ろを守る二人の好守にも助けられました。
打撃陣ではやはりファンアムステルがタイムリーを含む3打数2安打と奮闘。守備でもいいところを見せました。バレンティンは好守備を披露したものの、打撃は2タコ。いいとこなしで終わりました。残りの二人は、ブーレーが捕手として、クロフトは一塁手として4回から出場。ブーレーは2打数1安打で相手のエラーでも出塁したので、二度出塁しました。クロフトは2打数0安打に終わりました。
キュラソー組を含め、3人にとって、今回は非常にいい経験になったのではないでしょうか。このイベントに訪れていたメジャーのスカウトからオファーが来るかもしれませんし、アメリカの良い大学でプレーすることにつながるかもしれません。いずれにせよ3人のこれからの野球ライフに新たな可能性が加わったことは確かです。近年は、特にオランダ本国の若手選手がメジャー球団と契約する機会も増えてきました。これはオランダ球界レベルアップに向けてもよろしい傾向です。有望な若手が多い証拠でもありますし。これからもオランダ人選手のアメリカへの挑戦に目を向けていきたいと思います。