ZEP6枚目のアルバムPhysical Graffiti(フィジカル・グラフィティ)ZEP初の2枚組オフィシャル・アルバムで1975年リリースされた。アルバム・ジャケットはⅢの応用で、くり抜かれた窓に人の姿が入る(数パターン)ようにできている。
全体的には、前作(聖なる館)と違って、重さが全体を支配している。ZEPの独特の重量感は、当アルバム以降、顕著に表れ始めた。当アルバムは、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴのアウトテイクと新曲を併せて収録したものだ。アウトテイクといっても捨て曲という感じではなく、それなりに充実した曲がほとんどだ。この時期のZEPが脂の乗り切ったバンドであることを実感させてくれる。当アルバムをZEPの最高傑作として推す人も少なくない。
Physical Graffitiのアルバムジャケット
Bron-Yr-Aur(ブロン・イ・アー)
Ⅲのアウトテイクで、Jimmyのアコギ1本によるインスト曲。一見シンプルに聞こえるが、とても凝った曲で、聞いたことのない変則チューニングを使って演奏されている。大学時代、スナックで一緒に弾き語りのバイトをしていた友人が、この曲をそっくりにコピーして弾いていたことを思い出す。
Bron-Yr-Aurと呼ばれていたコテージ
ZEPはここでツアーの疲れを取りながら、さまざまな曲を創り上げていった。
Ten Years Gone
ZEPの美しさ、ロマンが表れている曲だ。この曲を聴いたZEPのエンジニアが、「Swan Song(白鳥の歌)のようだ…」と言ったことから、ZEPの独立レーベル名が「Swan Song」に決まったという話である。イントロの響きだけで、過去への哀愁を感じさせてくれる。maj7のクリアなギターの響きがとても心地良い。
Then as it was, then again it will be
And though the course may change sometimes
River always reach the sea
かつてあったものはやがては戻る
順路は時に変わるが
川は必ず海に到達する
バラバラに生まれた個は、やがて、元々居た海の中にすべてが畳み込まれ戻っていく…といった解釈もできると思う。貴方にとっての10年間は、どんな10年間でしたか? と問われているような気がした。
In My Time of Dying(死にかけて)
ZEPのオフィシャル録音の中では最長の曲(オフィシャル・ライブは除く)。ブルース・ロックとしてのZEPの良さが如何なく発揮された曲だ。シンプルで力強く、重量感に溢れている。
重量感を持ったドラムのJohn Bonham、
個性的なリフとアドリブ・フレーズを繰り出すギターのJimmy Page、
正確なリズムをキープするベースのJohn Paul Jones、
インプロヴァイザーとしても優れているボーカルのRobert Plant…
この曲はZEP音楽のひとつの完成形だと言えるのではないだろうか。ちなみに、当曲にアコギは入っておらず、今回のシリーズの意図とは外れているが、重要な曲だと判断したので入れておく。
Black Country Woman~Bron-Yr-Aur Stomp(1977 Live)
ⅢのBron-Yr-aur Stompへとメドレーで繋ぐアレンジがされている。このLiveは後半のBron-Yr-Aur Stompがかなり長い。Jon Paulのベース・ソロが入っているのと、Jimmyのアコギのアドリブがいつもより長めだからである。黒い田舎の女…泥臭さと原始的なエネルギーを感じさせてくれると言う意味で、2曲はたしかに共通したベクトルを持っている。
Night Flight(夜間飛行)
当アルバムの中では、珍しくPOPで聴きやすく、一服の清涼剤のような役目を果たしている。手抜きはなく、音楽的にも上質な曲だと思う。


