精神科閉鎖病棟 | 秋 浩輝のONE MAN BAND

秋 浩輝のONE MAN BAND

はじめに言葉はない

君たちはまっすぐに歩いてきたつもりかもしれない

竹馬の友の助言もあって、正しいことをしてきたつもりだろう
だが、朱に染まれば赤くなることに気づいていないのか

集団の歪んだ精神は、左右のどちらかに偏ってしまうんだ

うん? 君たちの場合は枝葉末節に囚われた左寄りかな

マイクロフォンを持たない左手は手持ち無沙汰だから
抑揚のないロゴスの中から何かの法則を探しているのか
だが、共通認識は個々の脳内で刻まれている脚韻だから

共同幻想の音楽の中から見つけ出すことは不可能なのだよ

うん? 君たちは表層的なビートを絆だとでも思っているのかな

 

「きょうの先生の話は奥が深いな」

「うーん、脚韻じゃなくて頭韻のような気がする」
「はいはい、先生たち、そろそろ昼ごはんだから部屋に戻ろうね」
 
翌朝、頑丈な窓ガラスが割れていた
その中心にポッカリ空いた大きな穴
そこから放射状に延びたひび割れ
内外には粉々に砕け散ったガラスの破片
分厚いガラスに挟まれた格子状の金網さえぶち切れていた

 

君は深い闇に向かって

走り出してゆく

尖ったガラスを肌に突き刺しながら
走り抜けてゆく