STILL | 秋 浩輝のONE MAN BAND

秋 浩輝のONE MAN BAND

はじめに言葉はない

白さに溢れた時計台のSPIREの中の
螺旋階段のあたりを漂う霧のように
ちょっと背伸びした薄暗い空から
今にも降りだしそうな雨粒のように
ありきたりな風景に溶け込む静寂な響きを
僕はいつでも創り出すことができるんだ

太陽に向かって羽ばたき
蝋のように溶けていったイカロスの翼や
深い海の底をツブサに見ることのできるトリトンの瞳
そんな神話の世界をキミに見せることだってできる
アポロの宇宙飛行士たちが歩いた月の上だって
スローモーションでゆっくりと歩くこともできるんだ

そんな幻夢を切り刻むように
キミはピアノで不協和音を弾き散らかしている
歪んだ音が鍵盤の凸凹を引っ掛かりながら滑り落ちる間に
僕は下りの電車の時間を確かめている

 
 
 

(再掲載加筆修正あり)