桝田省治「ゲームデザイン脳」と企画 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

桝田省治著『ゲームデザイン脳』を読んでみました。 
 
もともとは任天堂の開発者である
『ゲームの父・横井軍平伝』を購入するつもりが、
Amazonの場合、リコメンドで『ゲームデザイン脳』も出てきて、
秋葉原の「気持よく負けるためのゲームデザイン」イベントにも
参加したこともあり、ARの着想を得るために、
もう少し、体系的にゲームデザイナーからも学ぼうと衝動買いしました。
 
中学から寮生活をしてしまったせいか、
自分自身、ほとんどゲームはやらないのですが、
プレイヤーであるよりも、開発者、ゲームデザイナーの立場から
ゲームを捉えたほうが、自分にとってはおもしろいことに最近気が付きました。
 
特に日本のゲーム産業は非常に発達しており、
このゲームデザインの考え方というのは、
本来、いろんなジャンルや分野に横断的に応用できるものであり、
ゲームとして発売することにより、ユーザによって評価されてます。
 
「企画のネタはどこにでもある。(中略) 経験から言えば百にひとつくらいはモノになる。
 逆にいえば、百のうち九十九は無駄骨。それが企画というものだ。
 だけど、何度も言うけど考えたり想像することはタダなんだよ。」(P21)
 
自分もかねてより、そういうつもりで特にARに関し、
思いついた企画はどんどんブログで発表しています。
 
それがいいかどうかを評価するのは他人であって、
仮にそのネタがマネされるようなことがあっても、
それでもなお、どんどん新しい企画を創出していける自分であることが何よりも大切です。

 

自分にある程度の経済力やプロジェクトが組めて、
実現可能なのであれば、発表を控えた方がいいかもしれませんが、
現時点においては、到底そういう環境ともいえず、
発表を重ねていけば、だれかが興味をもってくれる可能性はあります。 
 
さきほど、他人が評価するとありましたが、5人の内、
2、3人が「メチャメチャ面白そう」と答えるのが理想的で、
5人全員でもお世辞の可能性があり、全員NOでも見込みはないと、
本にも記されています。
 
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<見込みがありそうなネタの選別方法とは?>
  
1) 短いフレーズでネタの面白さがまとめられること
 
2) 自分がフレーズを読んで面白いと思えること
 
3) 5人中2、3人が「メチャメチャ面白そう」と答える反応
 
4) 普通の人が即興的にイメージやシーンが想像できること 

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著者・桝田省治氏はいろんなゲーム企画に携わっていますが、
その中に携帯アプリで配信された「勇者死す。」があり、
これは、魔王を打倒するRPGと真逆。

 
魔王を倒し平和になったはずの世界が、少数民族問題や、
資源の枯渇、経済格差に直面し、勇者は徐々にパラメーターが、
衰えていく仕組みになっており、リミットである5日間を経過すると、
問答なく勇者が死んでしまいます。
 
そして、その勇者の葬儀が執り行なわれ、
勇者の行動、振舞いによって、葬式の参列者の人数や顔ぶれ、
弔辞の内容までが何十パターンにも変化するというです。
 
著者がこの着想を得たのは父の死であったといいます。
 
あたかも東西冷戦が終了し、ゴルバチョフによってソ連が崩壊し、
平和になったかと思いきや、民族問題が絶えず、
ゲームの世界が現代世界とオーバーラップしています。
 
また、手塚治虫はそれまでのマンガの世界が、
コメディ・パロディのような笑いのみであったのを、
映画の手法を取り込み、喜怒哀楽、生老病死をマンガの世界で展開しました。
 
ゲームにしても、マンガにしても娯楽と捉えれば、
手軽で楽しいものを追及すると思いますが、
必ずしもその娯楽という枠にとらわれるこもないわけです。 

 
しかし、最近のマンガを批判するわけではありませんが、
娯楽でもなく、喜怒哀楽でもどっちつかずの作品が多い気がしており、

手塚マンガに見られるような起承転結、はじめからエンディングを構想した上で、
シナリオが展開という作品が少ないように思われ、

連載の関係上、漫画家自身、意図しない方向に流れていってしまっている

ジレンマすら感じられます。
 
著者・桝田省治氏は具体例として、100円ショップにおいても、
アイデアの訓練はできるとし、同じ商品価値を100円のアイテムであっても、
それぞれ長所や短所があり、それを数値化して比較したり、
例えば、勇者が500円(525円?)もっていて、5点までアイテムを
購入できるとしたときに、何を購入するか?
 
ある種、幼稚園や小学校の遠足のおやつみたいですが、
食料にするのか、衣類なのか、調理器具なのか、包丁なのか、
ライトなのか、雨具なのか、ネットなのか、
限定されたシチュエーションの中で、いくつものパターンを想像し、
リスクも考慮した上で、最適な解を見つけ出すということは、
もはや、単に安くてモノがそろっている100円ショップではなくなっているはずです。
 
自分は比較的、性格上からも柔軟な発想ができる方だと思い込んでいますが、
それにしても、単に自称しているだけでは意味がなく、
それを媒体は何であれ具体化する必要がありますし、同時に、
絶えず訓練し、単なるアイデアから、いろんなバックグランドを知った上での
アイデアでは全然異なります。
 
たとえば、ビルの10階から1階におりるのに、
どうすれば一番速く降りれるかを考えたときに、
エレベーター、階段、エスカレーターがありますが、
オプションがあれば、吹き抜けの鉄棒でもいいわけですし、
それぞれ、待ち時間や込み具合、労力、いろんな要素があります。
 
「何度も言うけど考えたり想像することはタダなんだよ。」という
著者の言葉にもありますが、必ずしも万人が考え抜かなければならない
というわけではありません。

 

しかし、自分にとってはホリエモンにロフトプラスワンで、
初めてあったときに気付かされたのが、彼は驚くほどいろんなことを徹底して考え抜いていて、

必ずしもビジネスに直結することがらではないのですが、

その時に、安易に途中で物事に対し、考えることを放棄してしまっている自分を自覚したのです。
 
じゃあ、考えるのが重要だから考えよ!といって、
考えがすぐに深まるほど人間は単純ではなく、

自分にとっては読書やイベントに参加したり、人に会ったりしして、考えるきっかけを作りますが、
同時にマインドマップであったり、思考を整理してり、補助するツールは、
非常に重要だと思っています。 
 
この世にある道具や機械というのは、すべて人間の頭から生まれたもので、
有名・無名はあれ、だれかしら発明者、発案者はいるものです。
 
目下、話題沸騰中で、市場が未成熟で大きな可能性を秘めた
ARに関し、100のネタを考案するのが、当面の目標です。
 
「マンホールARマーカー」に関しては、比較的知人から受けが良かったように、
このブログを通じて、どんどん発表していくつもりです。

[マンホールARマーカー in 渋谷]
http://ameblo.jp/dupondt/entry-10592120930.html

 
みなさんも、もし、何かアイデアをお持ちなのであれば、溜め込まずに
どんどん発表してしまって、循環を良くした方が楽しいと思います。
 
そんなこんなの桝田省治著『ゲームデザイン脳』の感想でした。。
 

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