映画「ザ・コーヴ」(コーブ)・・・イルカ漁の真実 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

昨日、渋谷 イメージフォーラムにて、
7月3日から公開されたばかりの問題作ドキュメンタリー
「ザ・コーヴ」を観てきました。

$道玄坂で働くベンチャー課長

http://thecove-2010.com/ 
 
概要としては、和歌山県太地町で、イルカ漁(捕獲・殺りく)が
行われており、それらはいままで隠ぺいされ続けており、
メディアに露出することはなかったのですが、リック氏という
イルカ産業の第一人者が、一級のクルーを引き連れて、
殺りく現場の隠し撮りに成功し、映画として収録されています。
 
捕鯨問題に関しては、よくニュースや議論にもなりますが、
イルカが殺りくされ、食用としてスーパーなどの店頭に売られていたり、
地元の学校の給食になっているという話は、自身初耳でした。
 
この映画の発起人であるリック氏は、「わんぱくフリッパー」の
中心者で、イルカを調教し、水族館でショーをするようになったのも、
彼がきっかけであるといいます。
   
現在にいたっては、水族館周辺とするイルカショーは、
巨大な産業に発展し、大きな利益を生み出しています。 
 
しかし、リック氏は最も身近にいたイルカが、
うつが原因で亡くなり、しかも彼が水中でイルカを腕の中でです。
 
リック氏いわく、イルカは哺乳類で人間と同じように呼吸しますが、
人間が無意識に呼吸しているのに対し、イルカは意識的に呼吸をし、
そのイルカは、自らの意思で呼吸を止め、彼いわく「自殺」したといっています。
 
そもそもイルカは、非常に知性が高く、かつ繊細で、
水族館ではイルカがストレスで胃潰瘍になるため、毎日、胃薬を摂取させ、
また、聴覚が鋭いため、浄化装置の騒音が原因で死亡したことも。
 
しかし、イルカたちがパフォーマンスショーで楽しませてくれているのも、
イルカ自身が、機嫌を取りながら振舞うことを認識しているためであって、
それが本来の姿ではありません。
 
今回、舞台となった和歌山県太地町の近くは、
イルカが集団で移動するためのルートとなっており、
秋から春にかけて、2万6千頭のイルカを殺りくしています。
 
漁師たちは、漁船を一直線に並び、
特殊なラッパ状の機器を振動させ、
聴覚な敏感なイルカをパニック状態にさせ、
入り江(cove)に誘い込みます。
 
その後、イルカのインストラクターたちによって、
ショーに使えるイルカを選別し、1頭当たり15万ドルで
世界中の水族館を対象に売買されるといいます。
 
また、残りのイルカたちは後日、殺りくされ、
1頭当たり600ドルで、食用にされます。
 
今回のリック氏が撮影するにあたり、何度も妨害にあい、
漁師であったり、警察であったりします。
 
かつて海外のメディアが撮影しようとしても、
ことごとく妨害され、失敗に終わり、今回も前途多難ではありましたが、
特殊技能を備えたクルーたちとともに、見事隠し撮りに成功しています。
 
実際の殺りくは、イルカを入り江の浅瀬に追い込み、
ボートの上から、ひたすらヤリ・モリで刺し続ける極めて原始的な方法です。
 
その光景は見るに堪えがたく、よく血の海という表現をしますが、
文字通り、入り江がイルカの血で真っ赤に染まり、
通常、赤潮であったり、映画の演出であったりだと思います。
 
しかし、実際に血の海になるのは、観たことがなく、
表現が適切でないかもしれませんが、トマトジュースのような鮮明な赤と
若干にごったような赤が入り混じっているのです。
 
なお、これらの売買の売上は、太地町と町内にあるくじらの博物館の
資金になっているとのことですが、特にショー用に売買すれば、
1頭で15万ドルになるわけで、単純に考えても年間で数十億円単位になるはずで、
不明に流れている資金も多くあるような気がします。
 
政府(水産庁)もこの殺りくの事実は当然、認識しており、
あえて公にならないように隠ぺいをしていました。
 
水産庁としては擁護側にあり、考え方としては、
日本の漁業を守るという点で、捕鯨やイルカ漁に関しても、
肯定、支持しているわけです。
 
このドキュメンタリー映画が海外で上映され、
捕鯨をあいまって、問題視されています。
 
捕鯨に関しては、IWC(国際捕鯨委員会)というのがあり、
そこで日本は諸外国から、捕鯨に関し、バッシングされているわけですが、
日本政府も手を打ち、オセアニアにある貧しい国々を経済的援助をして、
IWCに加盟させ、彼らの国が捕鯨賛成票を投じるよう画策しています。
 
太地町の漁師たちはこれらは、日本の文化・伝統だといいますが、
現に彼らがイルカ漁をしていること自体、日本人の大半は知らないわけで、
ましてや、イルカを食用肉として食べるというのは、想像だにしないことです。
 
その2万6千頭のイルカ肉は、
食用としてスーパーとして販売されていることのなるのですが、
映画内においては、イルカ肉だと売れないので、くじら肉と偽装表示をして、
スーパー等で販売していると告発していましたが、政府関係者らはその点に関し否定。
 
個人的な見解として、イルカ肉を食べる必要性は感じませんし、
グランブルーのジャック・マイヨールではありませんが、
イルカをパートナーとして、愛着を感じる部分があり、殺りくには反対です。
 
[もう一つの「グラン・ブルー」]
http://ameblo.jp/dupondt/entry-10425173517.html
 
しかしながら、最終的にどうするかは世論が決めることであって、
絶対的な答えはないと思います。
 
それぞれ国によっても価値観は異なりますし、
時代によっても価値観は変化していきます。
 
日本においては、動物を食べる権利があるという考えであったと思いますが、
経済的に発展し、世界的な環境問題の取り組みがされる中にあって、
日本の従来の風習、価値観が問いただされているのだと感じます。
 
いずれにしても、太地町の漁師、警察、政府にしても、
後ろめたさがあったがゆえに、その現場を公にしなかったわけですが、
これらも外国人クルーだったからこそなしえたことです。
 
現に劇場公開にあたり、右翼団体が動いたりしていたこともニュースになっており、
自分が普段通っている渋谷・アップリンクの浅井社長が配給するかどうか真剣に悩み、
従業員の身の安全等を考え、葛藤している模様が赤裸々にこちらに記載されています。
 
<私が知っている『ザ・コーヴ』上映の全てを教えます>
http://www.webdice.jp/diary/detail/4409/

それに関連してではないですが、自分が観たイメージフォーラムでも、
上映中もスクリーン脇に、警備員が2名待機していました。
 
自分としては、一人でも多くの人にこの映画を観てもらい、
事実、真実を認識し、考えてもらいという気持ちです。
 
イルカに限らず、ペットを含め、ビジネス商品としてのお金ではなく、
あらゆる動物と、しっかりパートナー関係を構築することを切に願います。

予告編


全編(英語)
http://www.youtube.com/watch?v=CVtyvHkJbjs