藤原和博氏による足立区立第11中学校における
教育実践記録。
社会科をシミュレーションとロールプレイングを
通じて学んでいくという画期的な企画。
ビジネススクールが、ケーススタディを中心としているように、
単なる知識の伝達ではなく、ワークシートをもとに、
生徒が自ら考え取り組み、テーマも多岐に渡る。
・マクドナルド出店計画
・ハンバーガー1個からみる経済
・家づくりを創作する
・「シムシティ」による市長体験
・ジェンダー・マイノリティへの考察
・成人、少年法について
・クローン技術
・いのち、殺人、自殺について
マクドナルド出店計画においては、
地図をもとに、どの場所がいいかを、
昼間人口、稼働率、通行量、商圏などの
データを考慮し、決めていく。
また、1個のハンバーガーにおける原価構成、
為替、関税、貿易摩擦、粗利から計算した1日の店舗利益など。
シムシティに関しては、税金の徴収と投資配分のバランスを学ぶのですが、
実は自分もフランス留学時代、
現地でフランス語版を購入し、パソコンでやっていました。
慣れるとそれなりにうまくいくのですが、
歳月がたつと、必ず大地震が発生し、
町が大きな隆起によって見事に分裂し、![]()
経済的に壊滅状態になり、終了していました。
この授業では、ニューヨークのジュリアーニ市長を
ロープレし、9・11直後、どのような声明を発表するかというもの。
実際、ジュリアーニ市長における声明は3点。
1 一般の人々は、どうか家にいて下さい
2 ボランティアについては、これ以上けっこうです
3 犯人を突き詰めるのは、FBIやCIAの仕事なので、
みなさんはそういうことはしないでほしい
どの点も、非常に現実にもとづいており、
日本でも関東大震災の際、流説により、日本人が、
在日の中国・韓国人等に暴力を加えました。
また、少年法に関する授業では、模擬裁判にて、
各人が検察官、陪審員、証人、審判官、家庭調査官、
被告(少年)のロープレをし、非常に高いレベルの
討議を展開しているのです。
<よのなか科・7つの特徴>
1 シミュレーションで鳥瞰的な視点を感得
2 ロープレで主体的視点および他者の理解
3 ディスカッションで自分の考えを試す
4 プレゼンで自分の考え、価値観を確認する
5 ディベートで、ロジックを鍛え、議論を習得
6 さまざまな大人のゲストを通じて、仕事像を学ぶ
7 試行錯誤の正解のない、失敗を許す授業
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