とある女性に贈った詩 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

頻繁ではありませんが、たまに、
インスピレーションを得て、詩を書くことがあります。
  
この詩を捧げた女性は、すばらしい感性を持っていて、
それに自分が感動し、彼女が辞める時に渡しました。
  
原文はフランス語で、外苑前のスタバ で、
朝、書き上げました。
 
ちょっと、センチメンタルになります。。
 
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「けむりのむこうに」
 
 

きみのたばこのけむりは、
なぜかいつもパリの香りがする
 
そのくちびるからは、
いまにも聞こえてきそうだ
 
「BON, CA ME SENT MIEUX」
(これで、気分が晴れた)
 
 
きみのつぶらな瞳には、夢と現実、
喜びと悲しみが交錯する
 
デカルトいわく、
「われ思う、ゆえにわれあり」
 
きみにとって、たばこはこの地球の上に、
自分という定点を見出す道具
 
きみにとって、たばこは「自立」を意味する
 
きみにとって、たばこは、別名、
レジスタンスの象徴
「ユートピアという名の自分の世界を実現するまで」
 
 
たばこの端の赤い火は、冬のパリの薄暗い空の下、
車のテールランプとなって瞬く
 
けむりはゆらめき、どんよりした雲の中に消えていく
 
 
きみがたばこを吸う時、きみがどこにいようとも、
それが会社であろうとも、
だれもきみの想像の世界を奪い取ることはできない
 
頭の中は、侵すことのできないサンクチュアリ
 
青山は、パリに似ていて、おしゃれな街だ
女性が色鮮やかな服を着飾る
そして、彼女らも、感受性を磨き、研ぎ澄ます
 
きみがカメラを手にすれば、魔法使いのように、
世界を瞬時に変えることができる
 
幼いころ、よく疑問に思ったものだ
「自分と他人は、見えている世界が同じなのか?」って
 
時が経ち、いつしか疑問に思うことをやめてしまった
 
詩人が詩を書くように、
画家が絵を描くように、
きみのこわれやすく、繊細で、宝石のような感性を、
何ら見える形に残したい
 
この世に何か、しるし、足あとを残したい
 
人々は、きみの感性を理解しないかもしれない
だが、それが芸術家としての証でもあるのだ
 
 
仕事、それは感情の伴わない作業
四六時中、数字に追われる
 
ところで、数字とは一体何だ?
かつて大芸術家といあれる人たちが、
数字と共に生きたであろうか?
 
数字には、遊び、想像するための空間がない
あるのは、ただ現実のみだ
 
ビジネスマンは数字が好きだ
それが、何の役に立つのか?
何かを計算するために? 
さもなくばお金のため?
 
 
数字は量である
 
しかし、芸術は量ではない
無二であり、かつ、多様的だ
 
数字は常に、比較の対象
これより上、あれより下
 
 
芸術、それは、太陽のように、二つとなく、
また、日が暮れれば、夜空の星となってきらめく
 
サン・テグジュペリは
大人の世界のおどけさを熟知していた
 
お金、虚栄、高慢、権威、称賛を欲する大人たち
 
ああ、悲しいことに、
世界はいつも大人たちによって支配されている
 
感性は、あまりにも、うつろいやすく、
あいまいで、とらえにくい
 
すぐにとらえておかないと、
森の中の蝶のように、消えてなくなってしまう
 
また、それゆえに、分かち合うだけの価値があり、
人の魂にも共鳴する
 

子供はとてもゆたかな感性を持っている
いな、感受性のかたまりである
 
もし、この世に芸術がなかったら、
この世に夜明けが訪れないように、
みんな、うつになってしまう
 
 
電車の中で、きみが本に没頭するとき、
目的地は、もう取引先ではない
きみの本当の行き先は、小説の主人公の運命の結末にある
 
星の王子さまが大人の世界に対して、
たくさんの問いかけをしたように、
きみは、答えのない疑問をたくさん持っている
 
  
それでもきみは、社会の中で、
現実の中で、生きる運命にある
 
それをフランス人はこう言う
「C'est la vie!」(それが人生さ!)
 

 
想像に生きることは、
現実や苦痛からの逃避ではない
 
想像は人生を楽しくするための、
人類の偉大な発明である
 
時には、人のいのちを救うことだってある
 
アウシュヴィッツの囚人たちは
あまりにも酷な現実を
持ち前の想像力で、皮肉と希望の世界へと変え
生き延びていった
 
 
フランスの大文豪
ヴィクトル・ユゴーは叫んだ
「Aimer, c'est agir!」
(愛すること、それは行動である!)
 
 
ぼくは思う
 
世界のどこかできっと
誰かが待っている
 
きみの優しいまなざしを