パイロットのプロジェクト力 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

坂井優基『パイロットが空から学んだ一番大切なこと』に、 
現代パイロットの条件が上げられています。
 
1 結果力
2 経験によるカン
3 柔らかい思考
4 チームビルディング
5 鳥の視点
  
著者は、国際線ジャンボジェット機長。
 
近年話題になったビジネス書『ザ・ゴール 』は、
制約条件理論(TOC)の小説ですが、
フライトも、制約された条件の中で、どうやって
目的を達成するかにあるといいます。
 
その目的も、目的地に到着すればいいという
単純なものではなく、フライト毎に異なります。
 
例えば、東京~大阪間の朝一番のフライトでは、
ほとんどがビジネスマンであり、
もっとも優先されるのは、「時間」。
 
そのため、多少揺れても、一番時間が短くなる
高度、空路を選択します。
 
逆に、これが夏休みで、沖縄行きの場合、
家族連れが多く、最も重要なのは、
揺れないことであり、「快適性」。
 
子供は、酔いやすかったり、
揺れて泣くことがあるため、
それをいかに防げるか。
 
実際には、フライト時の風や気象状態、
空港、燃料の量など、様々な制約、条件を
クリアし、それらの目的を達成するのです。 
 
また、どれだけ不測の事態を、
想定した上で、フライトができるかが、
実力の違いであると。
 
そして、機長として、一番大切なこと、
それは、「飛ばないという決断」
  
登山でも、最も難しいのは、
「引き返すという決断」です。
 
プロとして、飛行機の操縦席に座った時、
その仕事の9割が終わってなくてはいけない、
と著者は語ります。 
 
いくつか同種の本を読んでみましたが、
この本が一番よく要点を得ています。
 
フライトをプロジェクトとしてとらえると、
飛行機もまた、違うものに見える、
今日この頃なのでした。


パイロットが空から学んだ一番大切なこと/坂井 優基
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