「タクシー・トゥ・ザ・ダークサイド」 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

アムネスティ主催、
タクシー・トゥ・ザ・ダークサイド」上映会に参加してきました。
 
9・11の同時多発テロ後、アメリカのテロとの戦いの裏で、
何が行われていたのか?
 
その真実を突き詰めるドキュメンタリー。
 
この映画について、論ずる点はいろいろありますが、
自分が特に感じたのは、法的な部分です。 
 
捕虜に関する取扱いですが、1949年に採択された
ジュネーブ条約(Geneva Conventions)というのがあり、
その規定では、要約すれば、「その捕虜の人権を尊重し、
暴力等、非人道的な扱いをしてはならない」とするものです。
 
しかしながら、ブッシュの行った捕虜に対する拷問は、
あきらかに条約に反するものです。
 
彼は、合衆国憲法を変えようとしましたが、
さすがに大統領といえども、憲法を改定することは容易でなく、
その解釈を、巧みに利用しました。
 
ブッシュは辣腕法律家により、
「テロ容疑者」、「適性戦闘員」という新しいカテゴリーを設け、
これらの人間に対しては、合法的に拷問することに成功したのです。 
 
この戦争の特徴は、タリバン、アルカイダ撲滅という名のもとに、
手当たり次第、捕虜にし、拷問を中心として、展開されたことだと思います。
 
捕虜に拷問を加えたアメリカ兵が、
人間的に、精神的に異常であったかというと、
インタビューを見る限り、ごく正常です。
 
彼らが、残酷たりえたのは、
アメリカ軍が、自らの良心、モラルによって判断し行動するのではなく、
完全に命令系統によって、行動していたことにあります。 
 
軍は誰でも、当然、上官がいるわけで、
つまり、責任の所在が、極めて曖昧です。
 
最終的には、ブッシュをはじめとする上層部でしょうが、
権力ある立場の彼らに、司法の手がおよぶことはありません。
 
この戦争が、いかに愚かで、過ち多きものであったか。
  
ぜひ、一度、ご覧下さい。