「意志の勝利」 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

レニ・リーフェンシュタール監督作品
「意志の勝利」です。
 
いわゆるヒトラーが制作を命令した、
プロパガンダ映画で、
1934年ニュルンベルグで行われた
ナチス・全国党大会の映像記録、つまり、
ドキュメンタリーであります。
 
党大会自体は、6日間に渡って開催され、
開会式の演説に始まり、閉会式の演説で終わります。
 
演説もたくさんの登壇者がいて、
最後はやはり、ヒトラーによる独壇場となります。
 
映画自体は、党員達が、ヒトラーの前や、
街中を行進するシーンが、約1時間半ぐらい続きます。
 
はっきり言って、自分が何の映画を観ているのか、
本気で分からなくなるくらい、行進の映像が続きます。 
 
もしDVDで観るのであれば、間違いなく、
早送りしていたと思います。
 
行進はともかく、映画の節々に、
ヒトラーの演説が入ります。
 
当時のドイツというのは、
経済的にも、国力的にも、苦境に立たされた状態にありました。
 
そういう中で、カリスマ的ともいえるヒトラーが、
政界に登場したのです。
 
人々が、彼に魅了された理由としては、
おそらく、彼は、善悪を抜きにすれば、
非常に力強い人間であり、民衆は、
彼に希望を見出していたと思います。
 
彼はもとから、ユダヤ人に対し、
偏見を抱いていたわけですが、
この演説内では、さほど、それらに関しては触れていません。
 
それが、ヒトラーが意図的にしていたのかどうかは不明ですが、
構図としては、

1.ヒトラーが全身全霊で、民衆、党員を励ます
2.民衆、党員たちは、彼のとりこになり、
  彼の指示通りやれば、間違いないと思うようになる
3.時間の経過とともに、ヒトラーへの忠誠心、貢献が増大
4.盲信により、物事の判断力が低下し、
  善悪の見分けがつかなくなる
5.結果的にホロコーストのような悪事にも、加担してしまう
  

自分達は、ヒトラーが、残虐非道な行いをしたことを、
ヒトラーのイメージ、定義として知っているわけですが、
もし、当時の状況下にいたら、自分ももしかしたら、
ナチス党員で、ヒトラーを支持していたかもしれない。
 
そう思わせるのほどの、
ヒトラーがダイレクトに、
自分に伝わってくる映画です。
 
映画館は、「シアターN渋谷」でしたが、
もう上映はされていないと思います。 
 
ヒトラーをもっと詳しく知りたい方は、
観られることをおすすめします。