みなさんは、ピーター・フランクル氏をご存知でしょうか。
ハンガリー出身のユダヤ人で、数学者であり、大道芸人でもあります。
彼は非常に語学に堪能で、正確にはわかりませんが、
10ヶ国語以上しゃべれます。
彼はいくつか本を書いていますが、
その中に語学の習得方法に関する本があり、
自分が高校時代に、英語の上達に役立てばと思い、
読んだ記憶があります。
本の冒頭に、彼の父親に関する話が載っており、
彼の父親は、物事を記憶する天才であったらしく、
何でも質問すれば、過去のことを詳細に答えたといいます。
その父親はどうやって、それらを正確に、
記憶していたのか?
それは、いわく、いろんな物事をつなげて、
連想させて覚えるというのです。
応用すれば、仮に名刺をもらったとして、
そのままにしておくと、あとで見たときに、
この人が誰だったか思い出せないときがありますが、
名刺をもらった時点で、一緒に、もらった時の状況、
日時、場所、相手の服の色、同席者、話の内容、
天気など、それらをひっくるめて、その人の情報として、
覚えるのです。
そうすると、情報が複合的、立体的になり、
頭の記憶から、忘れにくく、また、思い出しやすい状況を
つくることが出来ます。
そういったことをふまえて、
ピーター・フランクルは、
単語帳の弊害を上げておりました。
人間は、コンピュータと違うので、
バラバラの情報を1つずつ覚えることは、
できないというのです。
仮に覚えたとしても、すぐに忘れてしまいます。
これは自分もそうでしたし、みなさんも経験済みであると
思います。
彼はそれを豆でお城を築くようなものだと、
表現していました。
つまりどんなに頑張っても、
非常にもろく、簡単に崩れてしまうということです。
なにか新しい単語を覚えるにしても、
自分の経験上、いろんなシチュエーションや、
文脈の中で、使われているのをみて、
ようやく覚え、使い方も理解するというものです。
自分は、語学というものは、ピース数の多い
「パズル」みたいなものだと思っています。
語学の学び始めは、よく分からないですが、
やっていくうちに、試行錯誤し、
ピースがあうようになってきます。
1ピース、1ピース、組み合わせながら、
その地道な繰り返しです。
それがあるとき、うまくかみ合って、
一つのかたまりになります。
そうすると、絵柄の模様がみえて、
語学力がその時、一気に上がるのです。
自分も留学中、明確にそういった経験をした
瞬間がありました。
不思議な体験でしたが、
夜、図書館で勉強を終えて、
アパートに戻ってテレビをつけたとき、
それまでまったくといっていいほど、
理解できなかったテレビのフランス語が、
急にある程度、理解できる状態になっているのです。
それは、おそれく、勉強を積み重ねていって、
それが大きなパズルのかたまりになった瞬間だったかも
しれません。
ただ、そういったことが起きるのも、
勉強を積み重ねているからであって、
何もせずに、ただ留学しているからといって、
そういった経験は、発生しないと思います。
うーん、やっぱり、頭の良くなる薬って、
ないんですかねぇ~。