彼の著書にも書いてありますが、
ヒマラヤなどにいくと、
その国柄が非常にはっきり出るといいます。
それは、日本人隊は、必要最低限のものしか運ばず、
テント内では、修行僧みたく、自分の普段の欲求を抑えて、
困難や苦しさを忍んでいるといいます。
それに対し、欧米は、ソファーやテレビも持ち込んで、
きわめて快適な環境をテント内につくり、
体をリラックスさせたりするといいます。
また、標高の高い場所で、アルコールを摂取するのは、
危険性が高いのですが、欧米人は、普通に飲んだりしているとも言います。
国柄の違いは、それだけでなく、
ゴミの取り扱いについてだといいます。
それらの山に登るためには、シェルパに手伝ってもらい、
総計数百キロにおよぶ荷物を、登頂にあたり、
運んでいくことになります。
食料品のゴミは、もとより、
特にやっかいなのが、酸素ボンベになります。
タンク内にエアーがあるときは、
いいわけですが、中の空気がなくなってしまえば、
ボンベは、無用の長物であり、
正確にはわかりませんが、1本10キロぐらいは、
あると思います。
そのボンベをどうするか。
そのままきちんと、持って帰って、
下山するのが、ベストなわけですが、
実際は、必ずしもそうではなく、
特にかつての日本隊は、かなりの数のボンベやゴミを
ヒマラヤに残していったといいます。
自分たちが目にするヒマラヤの写真は、
どれも崇高で、美しいものばかりですが、
実際に現地に行くと、
いろんな国の隊が、登頂に挑戦するために、
キャンプを張っており、かつては、
入山できる隊の数に、制限があったみたいですが、
ネパールの資金的なこともあり、
制限をなくしたことにより、大渋滞が発生いているのです。
なので、実際は、ヒマラヤは、
ゴミだらけであり、
それらが一般に知られていないのは、
幻滅させないように、あえて、そういう写真は、
撮らないようにしているとのことなのです。
そういう背景もあり、
野口健は、欧米人から、
「日本は経済は一流だが、マナーは三流だ」と
いわれ、その言葉がずっと彼の心に残っていたといいます。