昨日、JR武蔵野線に乗った。
展示会の仕事の会議に出席するためだ。
新八柱から西国分寺までひたすら各駅停車で1時間近く。
私は7~8人掛けの長いシートのほぼ中央部分に座り、自分の英文法書の原稿を校正していた。
車内はやや混雑気味。
しばらくすると、3歳くらいの男の子を連れた若いママさんが乗ってきた。
そして、たまたま空いた私の左隣のシートに向かってきた。
男の子が私のすぐ隣のシートによじ登るように座ったが、その際、男の子の靴が私のスーツのズボンに当たった。
私は、小さな男の子だから仕方ないな、と思って特に腹も立たなかった。
するとお母さんが気づき、男の子に耳打ちをした。
こちらにも丸聞こえだった。
「隣のおじさんに、足が当たってごめんなさい、って言うのよ。」
すると男の子は、やや躊躇(ちゅうちょ)したものの、すぐに私に顔を向けて言った。
「隣のおじさん、足が当たってごめんなさい!」
私はニッコリ返したものの、こんな小さな子供に「おじさん」と言われたことに少なからずショックを受けていた。
でも待てよ…
「おじさん」と言ったのは母親の方だ。子供は言われた通り言っただけだ。
ってことは何か、このママさんから見ても私は「おじさん」ということか?
なんだか、ダブルショックにめまいがしそうになりながら、それでも私は平静を装った。
きっとこのママさんも「隣のおじさん」の部分まで子供が言ってしまうとは思わなかったのだろう。
まあ、「おじさん」と呼ばれたことはさておいて、私はこの親子には好感を持った。
電車内で子供が周りに迷惑をかけることはあるし、仕方のないことだと思う。
こういう時に親の力を窺い知ることができる。
親が自分で謝り、子供本人に謝らせない人もいる。
ひどい親だと「謝る」どころか、子供の足が他人に当たったことに気づきさえしないこともある。
例えば雨の日に、濡れた自分の傘の先が他人の足に触っていることに気づかない人がいるが、それと似ている。
自分が管理すべきものが他人に不愉快な思いをさせていないか、気にする人は気にするし、気にしない人は気にしない。
このママさんは、そういう点で、自分の子供が周りに迷惑をかけていないか気にかける常識を持ち合わせていた。
また、そういうお母さんだからだろうか、子供の笑顔がなんとも素直だったのだ。
ほのぼのとした気分になりながら、今年で37歳、そろそろ「おじさん」と呼ばれることにも慣れなければいけないかなーと思わずため息がひとつ出た。