先日、大台町旧宮川村にあるフォレストピアというホテルで、宮川フィットネスクラブのメンバーとランチ会をしました。

元は、昨年末に忘年会をする予定でしたが、私の娘がお産で里帰りしていたので時間が取れず、春になってからということで4月になったのです。

 

フォレストピアホテルは、最初は宮川村が経営していたようですが、今は民営のホテルです。緑に囲まれた広大な敷地に、宿泊棟やレストラン、露天風呂を含む温泉施設、庭にはバーベキューガーデン、コテージ、つり橋を渡っていくと手の切れるような冷たい水が流れる小川、釣り堀などがあり、夏休みには小川は満員状態、バーベキューも予約が取りにくいらしいです。

 

眩しいほどの若葉が風に揺れるのを眺めながら、ホテルのレストランで、楽しい食事会でした。メンバーは私よりは若い人たちですが、それでも60歳を超えて、孫の守り、親の介護の真っ盛りの年代です。

 

いろいろお話をしている中で、ある人のお話が印象深く私の心に残りました。その方のお姑さんは高齢で認知症を発症し、今は施設で暮らしているのですが、見舞いに行くと14年前に亡くなった自分の夫と、同じく14年前に亡くなった息子(そのメンバーさんの御主人)は、まだ生きているのだそうです。「あんたはよく見舞いに来てくれるけど、○○は、ちっとも見舞いに来ないなあ」と言うのです。その人は、お姑さんと一緒に夢の中に入って「○○は、今忙しいから」などと言って話を合わせるのだそうです。以前にはお姑さんが「アメリカ軍が攻めて来るが、どこに逃げたらいいの?」というので、「もう逃げるところはないから、ここで一緒に撃たれましょう」と言ったとか。

 

なんと優しいお嫁さんかと感心しました。そんなことをしょっちゅう言われたら、私なら「もういい加減にしてよ!」と怒り出しそうです。私が感心していると、その人が言うのには「私は宮川村で一番大事にしてもらった嫁なんです。だからせめてもの恩返しです」そのご両親が、どんな方達か、私は知りません。確かに優しいご両親だったでしょうが、でもそれは受け取る側の気持ちも大きいと思います。それを当たり前と思うか、幸せと思うかの違いです。

 

そしてその方は、息子のお嫁さんに対してもとても優しいです。今までも時々、折に触れてお嫁さんの自慢をされました。「うちの息子は何にも取り柄がないけど、ただ一つほめてやれるのは、あのお嫁さんを連れてきたことだ」と言われます。お嫁さんの悪口を言う人は時々いますが、自慢をする人はそんなにいません。いつもほほえましく聞いています。

 

そして、ふっと気が付きました。これは、優しさの連鎖なのだと。人に優しくされた人は、人に優しくできるのです。その方は49歳の時にご主人を亡くされました。決して幸せばかりの人生ではなかったでしょうが、こうして優しさの連鎖の中で、幸せを引き寄せて暮らしてみえるのです。美味しいお料理と共に、心もほっこりとしたひと時でした。