音楽で心の垣根をこわしてゆく(漫画:小澤一雄)
謹賀新年 西暦2024♪

星の王子さま
サン=テグジュペリ(1900-1944)は
『星の王子さま』の中で、キツネに
「大切なものは目に見えない」と
言わせた。キツネが
王子さまに大切なことを教えたのだ。
サン=テグジュペリの名言として
末永く後世の人々に残された言葉である。
この本が出版されたのは1943年。


星とたんぽぽ
金子みすゞ(1903-1930)は、
20歳から童謡詩を書き始め、夫に詩作を
禁じられる24歳まで5年間、
512篇の童謡詩を書いたた。
自信作を出版社に送り、選者が
西条八十の時に、たびたび採用された。
アマチュアの投稿詩人として、
日本全国の読者にはその名を知られたが、
詩集が出版されることはなかった。

『星とたんぽぽ』という、ボクの大好きな
詩がある。
——————————————
星とたんぽぽ
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。

ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきにだァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
——————————————

これは明らかに、見えないものの
大切さを詠んでいる。
「青いお空の底」という冒頭からすごい。
空は「上」だと思うのがボクらの常識。
しかし、
宇宙に出たら上も下もない。だから
これは科学者の目で世界を見ている。
かわいらしいたんぽぽの花の根っこは
強く長く、そのおかげで生命力旺盛で
瓦の隙間にも花を咲かせ、
冬越しして翌年の春にも花を咲かせる。
これも科学者の目で見た
たんぽぽの力。
みすゞさんがこれを書いた年齢は
22歳だという。1925年のことで、
サン=テグジュペリよりも18年も早い。

世界一有名な社説
「世界一有名な社説」と呼ばれる文章がある。
「サンタクロースっているんでしょうか?」
という、8歳の女の子の新聞社への
質問投書に答える形で、記者が書いたもの。
1897年9月21日付けの
『ニューヨーク・サン新聞』社説。
これは『星の王子さま』よりも
46年も前の文章である。
世界中で絵本になって、今も読まれている。
日本語の絵本もある。

(前略)
「この世で一番確かなものは、
子どもにも大人にも見えないものなんだよ。
君は妖精が芝生で踊っているのを
見たことがありますか? 
もちろんないでしょう。でもそれは、
妖精なんていない、
という証明にはならないよね。
この世で見えないもの、
見ることができない不思議なものすべてが、
人間が思いつきや想像で作り出したものだ、
なんていうことはありません」(後略)

サン=テグジュペリの名言のように
思われている言葉が、
それよりもずっと前に、
みすゞさんによって書かれ、
チャーチさんによって書かれた。
『星の王子さま』は、フランスで
1945年に出版される2年前の
1943年に英語でアメリカで出版された。
サン=テグジュペリは、アメリカの
出版事情をかなり知っていたと思う。
46年も前に書かれて、アメリカで
「世界一有名な社説」と呼ばれて
愛読されている絵本のことを
知っていたかもしれない。
サン新聞に質問の手紙を書いた
ヴァージニア・オハンロンさんは、
有名になり、学校の先生として
活躍していた時期でもある。

このように、人類の文学史上の中で、
19世紀末から20世紀半ばまでの
50年足らずの間にも、
見えないものの大切さが著された。
文学史を遡るとまだまだあるに違いない。



世界のはての少年
コロナ騒動で、コンサートが
事実上の禁止となり、音楽家にとって
「世界の終わり」のように感じられたとき、
スコットランド・セントキルダ諸島の
言い伝えとして
「世界が終わっても、音楽と愛が残る」
という言葉を知った。
衝撃だった❣️
『世界のはての少年』という青春小説の
中で語られる言い伝え。
(ジェラルディン・マコックラン作/
杉田七重・訳/東京創元社)

原文は
”After the world ends,
only music and love will survive”
「世界が終わった後に、
音楽と愛だけが生き残るだろう」。

藝術ではなかった頃の音楽
18世紀前半、
ベートーヴェン(1770-1827)が生まれる
ずっと前に、ヨーロッパの辺境の地、
人口が180人足らずの離島で
この言い伝えが生まれていた。
スコットランド本土から北西に160kmの
大西洋上の絶海の孤島、セントキルダ諸島。
この島にはプロの音楽家も
コンサート用の劇場もない。

音楽家という職業を「藝術家」として
世に認めさせたのはベートーヴェン。
それ以前にも、ヴィヴァルディや
バッハ、ヘンデル、ハイドン、
モーツァルトなど、その後に名を残す
今では著名な作曲家がいたが、
その時代には、作品を永遠に残すという
藝術家としてのロマンはなかった。
音楽家は職人だった。
そのような時代のヨーロッパの辺境で、
音楽と愛が対等に語られたのは何故か❓

それは、目には見えないけれど
確かにあるものとして、
セントキルダの人々が
音楽と愛をひとつとものとして
考えたからではないか。
藝術は、ミケランジェロやダヴィンチの
絵画や彫刻だった。
そういう偉大な藝術でも、
世界の終わりとともに消える。
しかし、そんなとき
「音楽と愛だげが残る」と考えた
セントキルダの人々は、
永遠のものとしての「神の愛」と
音楽を、同等なものとして感じたのだろう。
音楽は藝術ではなく、
宗教的儀式の「道具」であったことも
神の愛と音楽を結びつけた理由と思われる。

目に見えない大切なものと音楽
目に見える伝統的な藝術は、
世界が終わればなくなってしまうが
目に見えない大切なものとしての
音楽と愛だけは、世界が終わった後も
生き残りつづける。

スコットランド・セントキルダの
18世紀以前の詠み人知らずの
言い伝えに始まり、19世紀末の
フランシス・チャーチさんによる社説。
20世紀前半、1927年頃(昭和2年頃)の
みすゞさんの詩『星とたんぽぽ』。
1943年にアメリカで出版された
サン=テグジュペリさんによる
『星の王子さま』と受け継がれた
「見えないもの」への敬意は、
偶然のことではないと思える。

しかも『世界のはての少年』の中で
主人公が口ずさみながら自らを励ます歌が
“The Water Is Wide” (広い河の岸辺)
だということは、ボクには
奇跡としか言いようがない。

その後も、
ボクが訳詞したスコットランド民謡
《ふるさとのナナカマド》が
アカデミー賞ノミネート映画
『生きる』の劇中歌として世界的に
注目を集めた。
これも奇跡の出来事だった。
そして2023年には
ラジオ深夜便に二度目の出演をしたり、
それが『特選 明日へのことば』として
再放送されたり………
奇跡はつづく。
幸運の女神は今もボクを見捨てていない。


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
冬の陣♪「自由の風コンサート」
2024年
1月13日(土)
日暮里サニーホールコンサートサロン
ゲスト:渡辺麻衣
 ◎昼の部 午後3時
 ★夜の部 午後6時30分

1月28日(日)午後2時
ウェスタ川越小ホール
ゲスト:渡辺麻衣(歌)
ゲスト:北原志穂(舞踊)

2月5日(月)午後2時
千葉市美浜文化ホール音楽ホール
ゲスト:Tommy(歌)


亀有落語会/読み語り音楽会2024


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
春の陣♪ 広い河の岸辺コンサート in 熱海
2024年3月2日(日)午後2:00
 熱海・起雲閣 音楽サロン


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
セントパトリックデイ・コンサート♪2024
3月18日(月)
日暮里サニーホールコンサートサロン
昼の部 午後2:00
夜の部 午後6:30


置賜チャリティコンサート
2024年4月16日(火)
日暮里サニーホールコンサートサロン
昼の部 午後2:00
夜の部 午後6:30


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
立川 広い河の岸辺コンサート
2024年4月21日(日)
立川市女性総合センターアイムホール

◆ご訪問ありがとうございます。このブログを
訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。


大好評♪絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)




天使と悪魔の絶望名歌集
「世界が終わっても音楽と愛が残る」
歌:大前恵子(★印)
演奏:やぎりんカルテート・リベルタ(1〜16)
 高橋泉(チェロ)
 藤枝貴子(アルパ)
 清永アツヨシ(ギター)
 八木倫明(ケーナとナイ)

演奏:やぎりんトリオ・ケルティカ(17〜18)
 田中麻里(アイリッシュハープ)
 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★【ウクライナ名歌】
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
 (スコットランド、イングランド民謡/やぎりん訳詞)
19. ムーン・ダンス (清永アツヨシ作曲)[ギター+ケーナ]

CD番号
LIBERTAD-CD8686 【¥2800+税】
◎お申し込みは、やぎりんへ
yagirin88@gmail.com
税送料込みで¥3000にいたします。
*******************

《ふるさとのナナカマド》入りのアルバム

大前恵子×木星音楽団 セカンド・アルバム
鳥たちの詩、海の詩

1.くじらの子守歌  
 小笠原育美・作曲/相馬邦子・編曲
2.海はふるさと【大海啊故郷】
 王立平・作詞作曲/やぎりん訳詞
3.浜辺の歌
 林古渓・作詞/成田為三・作曲
4.アメイジング・グレイス
 英国賛美歌
5.ロッホ・ローモンド
 スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
6.ふるさとのナナカマド
 スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
7.聖母の御子
 カタルーニャ民謡
8.鳥の歌
 カタルーニャ民謡/やぎりん訳詞
9.つばめよ
 ナルシソ・セラデル・セビージャ作詞作曲/やぎりん訳詞
10.海はふるさと【大海啊故郷】
 王立平・作曲(インストゥルメンタル)
2017年8月25日
東京文化会館小ホールでのライヴ録音
11. 童神(わらびがみ)
 古謝美佐子・作詞/佐原一哉・作曲
12. コンドルは飛んで行く
 ダニエル・アロミーア・ロブレス作曲/やぎりん作詞
歌:大前恵子
演奏:木星音楽団
 小野美穂子【箏:十七絃/十八絃】  
 藤枝貴子【アルパ】
 三塚幸彦【尺八】  
 八木倫明【ケーナとナイ】
ゲスト
金亜軍【揚琴】 
古谷真未【チェロ】
★定価¥2600(+税)
★通販価格¥2800(送料¥180込み)

◎エッセイ『広い河の岸辺』
クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽