中村祐子(歌と朗読)NAKAMURA Yuko
佐賀県唐津市出身。
九州一の大劇場「博多座」で2003年、
金子みすゞ生誕百年記念『金子みすゞ物語』にて、
オーディションで選ばれ主役をつとめた。
みすゞのふるさと山口県でも公演。
みすゞ作品の朗読と歌のCDアルバム
『想ひ』をリリース。
劇中歌でもあった吉田幸介氏作曲のみすゞ作品を
レパートリーにする唯一のアーティスト。

2023年4月16日
立川市女性総合センターにて
見えない星(朗読)
星とたんぽぽ(歌)吉田幸介 作曲
積もった雪(朗読と歌)吉田幸介 作曲
巻末手記(朗読)
みんなを好きに(歌)吉田幸介 作曲

当時は不要不急....
百年後に必要とされた言葉

金子みすゞ(1903−1930/明治36−昭和5年)
大正末期から昭和初期に活躍した童謡詩人。
西条八十が彼女の才能を絶賛し雑誌への投稿で
何度も掲載されたが、詩集は出版されず、
死後は忘れられていた。
没後54年の1984年に、詩集が出版され
再評価が一気に高まった。
23歳で結婚し一女をもうけたが、
夫は女遊びの性癖が顕著だった。
昭和5年、夫に淋病をうつされたのを
きっかけに離婚を決意。
みすゞは、一人娘を自分で育てたいと
主張するも、夫は娘の親権を譲らなかった。
当時の民法では
親権は父親だけが持っていた。
夫への抵抗心から、
娘を自分の母に託すことを懇願する

遺書をのこして、睡眠薬死。

26歳11か月だった。


みすゞの作風は科学者の目で世界を見て、
易しい言葉で表現する。
見えないもの、小さなもの、弱いものへの
想像力や思いやりが深い。
もう100年前に書かれた言葉だが、
今も古ぼけることなく輝いている。
無名な若き女性詩人の詩は、
当時出版もされず
「不要不急」だっかもしれないが、
100年後の人々に必要とされた。
宮沢賢治もそうだったなあ.........
みすゞの言葉も、賢治の言葉も
100年先を行っていたのだと思う。

2020年の『私と小鳥と鈴と』

みすゞの死を考える
みすゞが自死に追い込まれたのは.....
夫に対する絶望感だけではなかったとボクは思う。
絶望を希望に変えるのが藝術であり、
みすゞはそういう言葉を持っていた。
雑誌に投稿して、ほぼ毎回採用されて
掲載されたが、選者はいつも西条八十だった。
ほかの選者(詩人)には、
あまり認められなかった。
西条八十がフランス留学のため、選者から
いなくなると、掲載の機会は激減した。
掲載の常連だったほかの若い男性詩人たちは
出版社にも認められ、詩集が出版された。
みすゞの詩集はついに出版されなかった。
ボクはこの絶望感は実に大きかったと思う。
出版されなかったのは
女性の地位の低さもあった。
女だてらに詩なんか書いて.....みたいに
思われる時代。

つまり、新しい価値観、未来の言葉であった
みすゞの詩は、当時は共感者が少なかった。
もし出版されたならば、出版社が
「売れる」と判断してのことであり、
共感者が多いということである。
夫に絶望しても、
自分の詩を認めてくれる人が
西条八十や弟の雅輔以外にもたくさんいたら
その絶望を
乗り越えることができたのではないか。

つまり、よくわからないけれど
なにか才能がありそうで、
ちょっと変わった人がいたら、
周りの人は支えてあげなくてはいけない。
そういう人は間違いなく世間で
生きづらい思いをしている。

みすゞは自作の詩集を3冊手書きで作った。

『美しいまち』

『空のかあさま』

『さみしい王女』

同じものを3セット手書きした。

1セットを手元に残し、


1セットは西条八十に、

もう1セットを弟の上村雅輔に送った。

雅輔は当時、文藝春秋社に勤めていた。


社内において雅輔に力があったら
文藝春秋社から詩集が出されたかもしれない。

しかし雅輔はまだ23歳の新米社員。

雅輔は、みすゞの自死後、1年あまり
酒と女遊びに溺れる荒んだ暮らしをした。
自分の非力が情けなかっただろう。
姉の自死を止められなかったのは
自分の責任と思ったのではないか。

しかし、一方でみすゞの死の翌年
1931(昭和6)年には、満州事変。
日本は戦争の時代へと向かっていく。
自由な「大正デモクラシー」の時代は終わった。
“みんなちがって みんないい” という言葉を
含む詩集がもし出版されても
発禁になった可能性がある。そこでまた
みすゞは絶望感を持つだろう。
未来に届く才能のゆえに、
封建的な気風と暗い戦争の時代に
翻弄されてしまったのではないか。

“こころの鈴の音プロジェクト”
ご支援のお願い

中村祐子さんが唄う、
吉田幸介さん作曲の金子みすゞ作品は、
中村祐子さんだけが唄っています。
祐子さんが主役をつとめた
「金子みすゞ生誕100年記念」の
福岡・博多座オリジナル演劇
『金子みすゞ物語』の劇中歌であり、
童謡らしい素朴な旋律と
音楽作品としての質の高さを兼ね備えた
貴重な作品群です。
100年後に伝わったみすゞの貴重な言葉を、
声で伝えていくのがこのプロジェクトです。

1年に一度くらいのペースでこの公演を
日本のどこかでつづけていきたいと思いますが
主役を九州から招きますので、
いつもより経費がかかります。これまでの
赤字を解消しこのコンサートを
つづけていけるように皆様から
ご支援を募ります。

1口¥3000のご支援で、
2023年4月の
「こころの鈴の音コンサート立川公演」を
記録したCDまたはDVDを御礼といたします。
お力添えをよろしくお願いします。
ケーナ奏者・作詞家 八木倫明

【お振り込み先】
★郵便振替口座00180-2-612135 八木倫明
(ゆうちょ銀行 〇一九店
[ゼロイチキュウ店]当座預金 0612135 )
通信欄に「こころの鈴の音CD希望」または
「こころの鈴の音DVD希望」とお書き下さい。

★三菱UFJ銀行 高田馬場支店
普通預金 0051411 八木倫明(やぎりんめい)

★三井住友銀行 光が丘支店
普通預金 0724543 地球音楽工房 代表 八木倫明
ちきゅうおんがくこうぼう だいひょう やぎりんめい
銀行振り込みの場合は
明細が不明となりますので、
お振り込みの時にメールがお電話で
ご一報くださいますようお願いします。