4月11日は金子みすゞの誕生日で
生誕120年の記念日です。
山口県の長門市仙崎という
漁港の町で生まれました。

1903(明治36)年4月11日〜
1930(昭和5)年3月10日没。
26歳11か月の短い生涯でした。


生誕100年の年に、九州一の大劇場
福岡市の『博多座』のオリジナル新作演劇
『金子みすゞ物語』の主役を
オーディションで射止めてつとめた俳優
中村祐子さんを九州から招いて、
”こころの鈴の音コンサート”を開きます。

みすゞの誕生日に近い日曜日の
立川公演は、最高のハレの舞台です♪


癒し難い孤独感と科学者の目
みすゞの創作の源泉は、
寂しさ、孤独感、挫折感そして
センス・オブ・ワンダーともいうべき
科学者の眼差しです。

みすゞは2歳で父親と死に別れ、
父の記憶がありません。
3歳のとき、1歳の弟(正祐)が
母の妹(みすゞの叔母)の嫁ぎ先である
下関市の上山家の養子になって
金子家を出ました。
みすゞが16歳のとき、その叔母が亡くなり
上山家の後妻として母が嫁いで行きました。
嫁ぎ先の上山家には、実の息子正祐が
いたので、子育てには都合が良かったのです。
金子家は
兄と祖母とみすゞの3人だけになりました。
家族関係には恵まれなかったのです。

女学校を首席で卒業して
卒業式の総代もつとめたみすゞは
20歳のとき、2歳上の兄が結婚したので
自宅に居にくくなり、母の嫁ぎ先である
下関市の上山家の「居候」に。
上山家は「上山文英堂」という
下関の大きな書店でした。
書店の店員として働きながら、
大正デモクラシーの自由の氣風で花開いた
雑誌文化にふれます。
ラジオもなかった時代
書店は最前線の文化に接する場所でした。

上山家では養子の正祐を
実子として育てていました。
みすゞは上山正祐が実の弟であることは
知っていましたが、正祐は知りません。
みすゞを従姉(いとこ)と思い、
文芸論を語り合える良き友になりました。
しかし、上山家の主人はみすゞに
実の弟の正祐を「坊ちゃん」
実の母ミチを「おかみさん」と呼ぶように
諭しました。
みすゞは
「使用人」のような扱いだったのです。
さまざまな雑誌に詩の投稿欄があったので
仙崎時代には読むだけだった詩を書いて
出版社に送るようになります。
選者の西条八十の目に留まり、
たびたび掲載されるようになります。

100年前の言葉
みすゞの詩は100年前の言葉です。
でも今も色あせることなく輝いています。
みすゞは昭和5年に
26歳で自死してしまいます。
女遊びの激しかった夫に淋病をうつされ
離婚を決意します。
みすゞは一人娘を自分で育てようとしますが、
夫は親権を譲りません。
みすゞは、自分の母に娘を育てさせることを
懇願した遺書をのこして、
服毒死します。26歳11か月でした。

時代の先を行く詩
自分の詩集を出版したいという夢は
叶いませんでした。
雑誌に投稿した自分の詩を高く評価して
いつも選んでくれていた、心の師が
詩人の西条八十でした。
西条八十にしか評価されなかった....
とも言えます。
彼が渡仏してからは、みすゞの詩を
選んでくれる選者がいなくなりました。
みすゞの詩は
時代の先を行く言葉だったのです。

雑誌の投稿で掲載回数を競っていたほかの
男性詩人たちは、出版社に認められ
詩集が世に出ます。しかし
みすゞの詩集が出版されることは
ありませんでした。
「女流詩人」「女流◎◎」という言い方は
差別用語でしょうね。
「女だてらに詩なんか書いている」と
見られていたということでしょう。
大正デモクラシーと言っても、
女性には選挙権もなかった時代です。

もし昭和を生きたら
もし自死の事件がなくて、みすゞが
昭和を生きたらどうなっていたでしょう。
亡くなったのは昭和5年3月。
翌昭和6年には、満州事変が起きます。
満州を占領した日本は
国際社会から激しく批難され
国際連盟を脱退。
昭和12年に日中戦争が始まり、日本は
戦争の時代に突き進んでいきます。
大正デモクラシーと言われた
自由な氣風はすでにありません。
そんなときに
「みんなちがって みんないい」という
言葉が載った本は
発禁になったのではないでしょうか。

多様性による支え合い
それほど、みすゞの詩は時代のはるか先を
走っていたのです。
多様性による支え合いの社会...とは
21世紀になってからさかんに言われている
哲学ですが、これは100年前に
みすゞの詩の中にあった思想です。
みすゞの言葉は
時代のずっと先を行っていました。

自由のあとにも戦争がやってくる
戦争が始まると、国民が一丸となって
「敵と戦う」ことが強要されます。
「みんなちがって」いてはダメなのです。
違った考えの人は排除され、時には殺されます。
それが戦争だし、
「大正デモクラシー」と呼ばれた
自由の氣風のあとにも
おぞましい戦争の時代が来たことをボクらは
忘れてはいけません。
みすゞが自由な感性で詩を書いた時代の後に
戦争の時代がやってきたことは
大切な歴史認識です。
今が「戦前」にならないために。

100年後に必要とされた
みすゞの詩は、
当時は不要不急だったでしょう。
評価するのは西条八十だけだったし、
彼女の作品を詩集にして世に出そうという
出版社もありませんでした。しかし
みすゞの詩は、
100年後のボクらが必要としました。


彼女が、100年後の未来人に読まれることを
意識して創作したかどうか? わかりません。
でも、
100年後に伝わる言葉を生み出すという
アーティストとしての生き方をした
と言えるでしょう。
詩集を出版したいという願いは、
自分の死後にもそれが読まれるもので
あってほしい!という切なる思いが
あったからです。

みすゞは自死の日の前日、近所の写真館で
自分の写真を撮影しています。それは
自分の死後に『金子みすゞ詩集』が
出版されたときに使うものとして
撮影に行ったと言われています▼


当時、時代の先を行き過ぎて
なかなか理解されなかった言葉を
綴りつづけたみすゞは
未来人に伝わる詩によって
アーティストとしての使命を生きたのです。

歌謡曲の作詞家としての西条八十の作品は
《蘇州夜曲》《王将》《青い山脈》.....など
数えきれません。
八十の生前は「西条八十詩集」が
よく読まれていました。しかし今
西条八十の詩集を読む人はほとんどいなくて
金子みすゞの詩の読者が多いのは、
みすゞの言葉は
「師匠」と尊敬していた八十を越えて、
100年後に伝わったということです。

▼2019年のアクロス福岡で撮影したものです。
撮影は写真家の中拂歩未(なかはらいあゆみ)さん。








《ラピュタ・シチリアーナ》動画リンク先

https://youtu.be/Odu3pM_cUfo

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訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。




大好評♪絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)



2023年4月16日(日)2:00
立川市女性総合センター アイムホール
金子みすゞ生誕120年
こころの鈴の音コンサート♪
全席指定¥2500 学生¥1000


★昔昔亭桃之助 亀有落語会
4月29日(土)午後2:00
亀有駅南口 藍ほーる
★まりりん・やぎりん・とーこ
読み語りアイリッシュ・コンサート
5月20日(土)午後2:00
亀有駅南口 藍ほーる


やぎりん作詞家デビュー9周年♪コンサート
歌:渡辺麻衣
ギターと歌:清永アツヨシ
ケーナ、ナイ、アイリッシュフルート:八木倫明
5月21日(土)午後6:00
銀座のシャンソニエ『月夜の仔猫』
¥5500(1ドリンク付き)


笑福亭里光  Roダん落語会
5月22日(日)午後2:00 喫茶Roダん
(一橋学園駅北口スグ)


やぎりんカルテート・リベルタ札幌公演
7月22日(土)午後1:00 札幌市民交流プラザ


やぎりんカルテート・リベルタ遠軽公演
7月23日(日)午後2:30
遠軽町芸術文化交流プラザ小ホール


やぎりんカルテート・リベルタ♪
自由の風 平和音楽会 2023年8月3日(木)
昼の部 午後2:00開演
夜の部 午後6:30開演
日暮里サニーホールコンサートサロン



天使と悪魔の絶望名歌集
「世界が終わっても音楽と愛が残る」
歌:大前恵子(★印)
演奏:やぎりんカルテート・リベルタ(1〜16)
 高橋泉(チェロ)
 藤枝貴子(アルパ)
 清永アツヨシ(ギター)
 八木倫明(ケーナとナイ)

演奏:やぎりんトリオ・ケルティカ(17〜18)
 田中麻里(アイリッシュハープ)
 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★【ウクライナ名歌】
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
 (スコットランド、イングランド民謡/やぎりん訳詞)
19. ムーン・ダンス (清永アツヨシ作曲)[ギター+ケーナ]

CD番号
LIBERTAD-CD8686 【¥2800+税】
◎お申し込みは、やぎりんへ
yagirin88@gmail.com
税送料込みで¥3000にいたします。
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◎エッセイ『広い河の岸辺』
大変好評で、販売中ですドキドキ


クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

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「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号編集後記やなせたかし
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
*********************
★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽